【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第11章 私と圭介とイヌピーと
「……イヌピーくん、ちゃんと知り合いなのか?」
「質問してんのは俺だ」
「……知り合いだけど?」
「を泣かせたのもお前?」
イヌピーの質問に、違う! と大きな声を出したかった。圭介が私を泣かせたわけじゃない。私が勝手に期待して、勝手に落ち込んだだけの出来事なのだから。誰が悪いのかと問われれば、間違いなく私だ。
「……」
「無言は肯定か?」
「質問に答えたから、イヌピーくんも俺の質問に答えろよ。ちゃんと知り合いなのか?」
「そうだ。は──俺の一番大事な女だ」
おいおいおい、初耳だが? まあ、イヌピーの言う大事な女ってのはどう考えても幼馴染みとしてだろうけれど……語弊しかないな。
誤解しか生まなさそうな物言いにどこか呆れるも、イヌピーだからという理由だけで納得してしまう私がいるのも事実。いや、だって、うん、イヌピーだし! イヌピーだし!!!
「はガサツだ。口は悪いし、手も出る上に、何かあるとすぐに酒に走る」
え、唐突な悪口大会始まったんだけど。え? イヌピーは私にボコられるの希望なの?
「だけど俺が年少いったあとも、ずっと変わらず接してくれてる。嫌な顔せずに、笑ってお帰りって言ってくれた」
「……」
「だからを泣かせたやつは──許さねえ。場地、お前でもだ」
今、二人はどんな顔をしているのだろうか。イヌピーは多分いつも通り表情筋が仕事を放棄したような顔だろうけれど……圭介はどんな顔、してるのかな。
いや、私が気にする必要なんてないんだけれど……ないけれど……。
「イヌピーくんには関係なくね?」
「あ?」
「俺とちゃんがなんだろうとイヌピーくんには関係ねェよな」
「テメェ……」
もうどう考えてもバッチバチの喧嘩腰でしょ! あの二人の絡みが不安すぎるんですけど! 今すぐ殴り出すんじゃないかと思って、扉から顔をちらりと出して様子を伺う。