【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第10章 私と圭介と確執と
「……うっ、うぅ……」
私がなにしたっていうのよ。菅野さんにだってなにも言ってない。誰かに靡いてっちゃうのが嫌なら、ちゃんと手綱握っておきなさいよ。全部自分のせいでしょ。
だいたい菅野さんだってそう。彼氏がいるのに、圭介ばかり相手にして。そうやってふらふらふらふらいろんな男のところに行くから、彰人が変な行動起こすのよ。節度はちゃんと守ってよね。
それに圭介だって、あんなに菅野さんのこと嫌ってたのに。なんなの最近。ずっと菅野さんのこと気にかけてるし。そんなに気になるなら私のことなんか放っておいて、さっさとどうにかなればいいじゃん。
私なんか……私なんか……。
「ひっく……サイテーだ……」
圭介が悪い訳じゃない。本当はわかってる、わかってるのに頭も心も追い付かない。
「もうどうにかなっちゃいそうだよ……」
▽▲▽
「っはぁ……全然寝られなかった」
ベッドの上で体を起こし、ガシガシと頭をかきむしる。頭も体も重たく、寝た気がしない。今日と明日と連休でよかった……こんな状態じゃ仕事できないもん。
はあ、と大きくため息をついてから自分の右手を見つめる。昨日感触がまだ生々しく残っている気がして、手のひらが真っ白になるまで握りしめた。あー気持ち悪い。
「……明るいうちに買い物行こうかな」
って言ってもご飯を作る気力もないから、近くのコンビニにでサンドイッチでも買ってくるかーってだけなんだけれど。
明るいうちに行かないと、なにがあるかわかんなくてちょっと怖い……っていうかこれから仕事の帰り道どうしよう。歩いていける距離だけど、夜だとそこまで人通りもないし……一人で帰るの不安だな。
タクシーか? 毎夜タクシーで帰るか? そんなセレブリティな生活続けられないぞ。
「もう夜ご飯もコンビニ飯でいっか」
何もかもめんどくさい、そんなときは徹底的に楽をしよう。そう思って出かける準備をゆっくりと始める。
最低限のお化粧だけをして財布とスマホ、そして鍵だけを持って家を出れば、深夜から降りだした雪が辺り一面を真っ白に染め上げていた。