第2章 アイツは、あぁ見えて甘えん坊 ( 隠の後藤 )
コイツを運んでる間に、コイツは本家の屋敷に呼ばれた為に、連れて行くことになった。
柱の前に出るのはホントはすげぇ嫌だけど、コイツが動けないから運ぶしか無かったんだよ!!
地面へと下ろせば、現在の柱はコイツを見るなり各々に告げる。
「 これが噂の…人外。随分とボロボロじゃねぇか 」
「 本当は、手当したかったのですが…先にお館様に呼ばれてしまったので… 」
柱の言葉に、花柱である胡蝶カナエさんは少し眉を下げて答えた。
そりゃそうだ、あんな戦闘があった後でここに連れてくるなんて優しいこの人なら嫌だろう。
「 例えどんなに使えても、所詮はゴミだ 」
「( は? )」
炎柱・煉獄槇寿郎の言葉にイラッとした。
なに、多神がゴミとか言うんだ?この柱。
マジで俺に、ちょっと勇気があったら殴ってたと思う。
いや、柱は怖いからそんな事できないけどな。
「 お館様がお見えになりました 」
その言葉で、柱達は其々に頭を下げた。
僅かに顔に傷があるようなお館様は、カナエさんの挨拶にふっと笑えば、心地の良い声で話を始めた。
「 他でもない、そこにいる青牙(せいが)の話をしようか。皆も聞いてる通りに、今回の鬼は下弦の壱。彼を倒す為に50人の隊士を送り、25名が助かった。それも全ては青牙が守りながら戦ってくれたおかけだ 」
流石、お館様!よく分かってらっしゃる。
俺は知らなかったけど。
「 彼は既に50体の鬼をも倒しているからね。私は柱にしていいと思うんだが…皆の意見を聞こうか 」
「 お館様がおっしゃるなら… 」
「 私達も、賛成でございます 」
そりゃ、選別試験のときに20体以上は倒してたみたいだし…、50体はゆうに超えてるだろうな。
柱になるのは当たり前だし、その実力は彼等も納得してるようで、安心した。
だが、コイツは下げていた頭を上げる。
「 お言葉ですが、お館様。俺は…人ではなく人外。師匠の鱗滝さんが鬼滅の隊士になるよう育て上げて下さり。お館様様が、隊士になる事を認めてくださいましたが…今回の件…俺は、多くの者を守りきれませんでした…。それなのに柱など… 」
血の滲む拳を握り締め、涙を浮かべては耳と尻尾が下がってる様子に…多分きっとここにいる全員が場違いなことを思ったに違いない。
「「( かわいい…… )」」
