第7章 兎は狼に勝てない( 錆兎 )
〜 錆兎 視点 〜
男が、男に抱かれる。
其れがどれだけの負担になるのか、
なんとなく聞いてはいたが…此処までとは思わなかった。
排泄しかしない部分に、大きく質量のある雄が埋められ、腹側の肉壁を擦られる度に酒で酔ってる思考と共に甘く溶けていく感覚がする。
辛いはずなのに、そんな事すら感じ無くなるのは、
俺を見下げる、コイツの表情が、発情してるそのものだからだろうか。
受けたくなるんだ。
他の奴に向けて発散するぐらいには、
俺に全部くれりゃいい…。
「 はっ、っ……だすっ… 」
「 あ、ぁあ…こいっ、ンッ…ぁ、あっ…! 」
密かに頷いたのに合わせ、直腸の中へと注がれる熱い精子の量に驚くが、狼とはいえど犬だもんなって納得する。
熱い精子が入り、注ぎ込むように止まった腰がまた動き始めれば、中で水が揺れるような感覚に全身に鳥肌が立ち、
もう…なにも出ない陰茎からは透明な体液が垂れる。
「 はっ、ぁ、あっ、ぁ…!ァ、せい、が…っ、んっ。ぁ…! 」
「 ふ…ん…錆兎…。気持ち、がいい… 」
「 あッ、ぁ、アァ…おれ、もだ…んっ、あ! 」
甘ったるく溶け合う感覚が、ずっと続けばいいのに…。
容赦無く揺すられ、達した回数なんて分からないまま絶頂を何度も体験し、その度に中の欲が溢れる程に増えれば、俺の意識は途切れていた。
気絶したと同時に眠りについていたらしい……。
「 っ……いっ、て… 」
朝、目が覚めれば腰の痛みに一瞬起き上がれず、
密かに身を動かせば横には、俺の方を向いて寝てる青牙の姿があった。
「 は……? 」
お互いに全裸、そして股から垂れる白濁を見ては、
盛大に溜息と共に、頭を抱えた。
「 酒の勢いで…ヤッて、しまった…… 」
正直俺は、酒を飲んだ辺りから覚えていなかったが…
時間と共に全てを思い出した為に、それはそれで恥ずかしいものがあった。
二人で風呂に入ったのはいいが、布団を宿の人に返すのが恥ずかしくて仕方ない。
「 一時…この宿にはこれねぇ… 」
「 良かったな。藤の家紋の家じゃなくて 」
「 そうだな… 」
男でありながら落ち込んでいるが、
今だけは穴があったら入りたい気分だった。
だが、夜の事を忘れなくて良かったと思う。