第2章 アイツは、あぁ見えて甘えん坊 ( 隠の後藤 )
コイツがここまで来るのに、どれだけの努力をして来たのか分からないが、才能の無い俺とでは天と地の差がある。
3体の鬼を倒したコイツは、俺に笑顔を向けてはその場を離れて跳んでいく。
それから、選別が終わる日まで強い鬼に出会う事はなく、俺は半ば卑怯と言われても可笑しくない程の状態で合格した。
「( それでも、残ったのは4人か… )」
俺を含めて、白髪の髪をしだ派手゙を連呼する男、
顔が青褪めてるやつ、そして犬…では無く、
狼の姿で羽織だけ身に着け、剣を咥えて座り込んでる彼奴の姿があった。
その後、玉鋼を選び、隊服を貰ってから俺は直ぐにアイツの元へと走った。
「 多神!待てよ 」
「 ん? 」
正直、逃げ回ってたせいで足腰は痛いが…
コイツの傷に比べるとマシだろう。
狼の姿をしたコイツは、ゆっくりと振り返れば俺の姿を見て密かに尾を揺らす。
「 お、生きてて良かった。倒しきれて無くて、他の奴等は食われたみたいだが… 」
「 そんな事はどうでも…よくねぇが…!その、助けてくれてありがとうな 」
コイツが来てくれたお陰で俺は、最終選別に合格した。
そしてなにより゙ 友達 ゙になりたいと思ったんだ。
「 !!…いいってことさっ。人助け出来るならよかっ、ゴフッ!! 」
「 多神!? 」
血を吐いたコイツに、俺は急いで駆け寄れば気絶してた為に、よっぽど身体を酷使したんだと知る。
「 おー、派手に血を吐いたなぁ。こりゃ内臓がやられてるから放っとくと死ぬぜ? 」
「 死なせない、オマエのお陰で選抜試験を合格したんだ。俺がなんとしてでも運んでやるさ! 」
「 そりゃいい!派手に頑張れよー 」
名前は知らないが、派手を連呼する男は立ち去り
俺は、多神をおんぶしてコイツの師匠の元まで連れていくことにした。
俺の師匠は後からでも報告すればいい、
今はコイツだと思って、歩いていく。
「 つーか…狼って重いんだな…。ほぼ人間の時と体重変わらなくね…… 」
コイツの剣と隊服セットで、自分の分まであって
それにておんぶし辛い狼を運んでるんだから、何度かよろけて地面に手をついた。
それでも、やっと天狗のお面をつけた、鱗滝左近次って人の元に来れば
彼は直ぐに駆け寄って治療をしてくれた。
マジで、満月になったら治ったけどな。
