第4章 兄妹の絆( 冨岡 )
「 飢餓状態なんだろ。寝てる時に人を食わねぇように口枷でもしとけ 」
「 !? 」
理解したって、俺が殺さない事を許すのか。
その言葉に驚けば、青牙は背中を向け片腕を出せば、その腕に鎹鴉の春曙が止まる。
「 俺は鬼舞辻の痕跡を追う。御前はそいつを見ていろ 」
「 ……分かった 」
そのまま走り去った事にポカーンとした後、言われた通りに口枷を作る事にする。
辺りを見て良さげな竹を目に付けば、刀を抜きスパンと切り口に向ける。
「 長い… 」
明らかに長い為に、大きさを変えてもう一度押し当てる。
「 太い… 」
今度は太かった為に、フッと自分の持っている青竹の水筒を取り出せば、それを向けた後に大きさが良さげだと思い、水を抜き、左右をくり抜いて布を通し、この鬼へと付ける。
「 これでいいだろう。次は… 」
鱗滝さんに文を書く必要があると思い、適当な場所で書き、寛三郎に持たせる。
「 これを鱗滝左近次さんの元へ 」
「 ウロコダキ……? 」
「( 春曙に任せればよかったかもしれない… )」
俺が13歳の頃から一緒にいる為に、もう随分と歳の為に、少し心配だが届けてはくれるだろうと信じて渡せば、飛んで行った。
あの方向を見れば大丈夫だろうと思い、その場でこいつ等が起きるのを待っていた。
「( ……青牙。帰ってこないな )」
幾度待っていても、青牙が戻ってくる事はなく。
何刻かした後に、少年は目を覚した。
「 っ……! 」
「 起きたか 」
俺を見るなり鬼の妹を抱き上げた少年へと、言葉を向ける。
「 狭霧山の麓に住んでいる。鱗滝左近次という老人を訪ねろ。冨岡義勇に言われて来たと言え 」
俺は直ぐに、鬼舞辻を追っている青牙を追わなくてはならない。
「 今は日が差して無いから大丈夫なようだが、妹を太陽の下に連れ出すなよ 」
後は、御前が如何するかだ。
妹を守れると言うなら証明してみせろ。
と言うか…
青牙、何処まで行ったんだ……?