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【鬼滅の刃】獣柱は皆のお気に入り(R18/BL)

第4章 兄妹の絆( 冨岡 )


〜 冨岡 視点 〜


俺達が半日来るのが早ければ、御前の妹も家族も助かっていたかも知れない。
だが、失った者はもう戻っては来ないんだ…。

走った先には、鬼に襲われていた少年がいたが、
コイツは鬼になった妹を守ろうとした。

そして、妹もまた人間である弟を助けるような動作をし、俺に対する威嚇を見せた。

コイツ等は、もしかすると違うかも知れない…。
そう思い、助ける事にした。

横たわる兄と、鬼となった妹を見下げていれば聞こえて来る走る足音に、刀を抜く。

「 っ…… 」

「 義勇。何故、鬼を庇うんだ? 」

兄の前へと脚を出し、容赦無く向けられた刀を受け止めれば獣の瞳を光らせ、犬歯を見せる青牙の言葉に眉を寄せる。

庇う、とは違うな。

コイツは、俺が見てきた鬼とは違う為に、それがどの様な結果になるのか見届けたいだけだ。

青牙とは、同じ育手である鱗滝左近次の弟子であり、
彼は兄弟子となる。
俺と錆兎、真菰に血を吐くような修行をつけてくれた者であり、真菰は特に兄のように慕っている。

だが、そんな青牙にも譲れないものがある。

刃を弾けば、後ろへと下がった青牙は青緑(ろくしょう)色をした刀身の刃を俺へと向けて来た。

「 ……庇ってない 」

「 じゃ、そこを退け 」

「 退かない 」

「 ……は? 」

不機嫌なのは無理は無い。
俺よりずっと早くから鬼を倒し、鬼を嫌っている青牙からすれば、殺さない事には疑問でしか無いのだろう。

「 この鬼は違う。飢餓状態で有りながら兄を殺さず、俺に襲ってきた 」

「 襲われてんじゃないか 」

「 違う 」

「 いや、違わないだろう 」

襲う、と言う意味が違うとじっと見詰めていれば
青牙は剣を軽く振るい鞘へと戻した。
諦めた様子に疑問になるも、彼はフッと横へと溜息を吐く。

「 義勇の事だから、なにか考えがあるのだろう 」

「 ……ない 」

「 は? 」

「 俺は腹を切る 」

この鬼が誰かを食った場合、俺は腹を切る事になるだろう。
そうなる事を分かった上で、この兄妹にはなにか他とは違うものを感じる。 

「 いや、待てよ?弟が腹を切るとか兄ちゃん嫌なんだけど?? 」

「 ……… 」

ジッとと見詰める俺に、青牙は髪を掻く。

「 あーもう、分かった! 」

何が分かったんだろうか…







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