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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第17章 夏休みの始まり


先日の試験は、ハプニングがあったものの問題なくクリア出来た。そして、初めての夏休みである。

貴族の令息・令嬢たちは、領地へと戻ったり各々の休暇を過ごすことになっている。

私も例に漏れず、領地に行くことになった。

そう、あの大きな音の原因を、帰りの馬車の中でシェラザード様から聞かされた。「兄弟喧嘩」だと。だから、関わるなと。私は頷くことしか出来なかったけれど、シェラザード様自身が少しだけ表情を崩された事に本当はシェラザード様自身が何とかしたかったのかもしれないと思った。

侯爵家の領地は、海産物とレースが有名。そう、海産物。貴族の令嬢が、海で泳いだり浜辺でバーベキューをしたりなどは出来ない。

だから、前世にあった七輪もどきを作って貰って、屋敷で一人バーベキュー。一人だった筈なのに、何故か皆が専属の七輪を持っている。

両親は幼い弟を連れて、視察と顔見せに出掛けてしまった。

最初は色々と言われていたけれど、領地ならとそれなりに自由にさせてくれている。

「アメリア様、とてもいい匂いがしますね。」

そう、私の七輪で蛤に似た貝とカワハギに似た魚を干したものを炙っていた。屋敷の中庭で。流石に、屋敷内でこれをすると匂いが大変だ。

ようやく、焼き上がった貝を口にと思った時、見知った姿が見え思わずポロッと落ちては転がっていった。

「シ、シェラザード様っ!!?」
「五日ぶり。えっと、邪魔したか?」

足元へと転がって行った貝に、目を向けたシェラザード様。再び、私を見る。

「休暇を楽しんでいるようで何よりだが・・・。」
「あ・・・。」
「あ?」

少し首を傾げるシェラザード様に向かって、私は令嬢らしからぬ速度で駆けだした。

「会いたかったですっ!!」
「そうか。私もだ。で、何なんだ?これは。」

流してはくれなかった・・・。

やんわりと説明すると、興味津々の顔をしていた。と言うことで、一緒に七輪タイム。

あ~、今、目の前で貴公子がカワハギを炙ったものを食べています。何か、ごめんなさい。

「アメリア、両親に持ち帰りたいのだが。」
「えっ?あ、あの、そんなことをしたら、私・・・不敬で首を跳ねられませんか?」
「そんなことにならないから安心しろ。それと、この七輪?と言うのも専用に欲しい。」

私は乾いた笑いをするしか出来なかった。




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