第14章 狙われた貞操
週末前日の学園内。シェラザード様は兄王子に呼びだされ、お仕事をされることに。来年には、シェラザード様も生徒会に入るらしいのですが、本人にそのつもりはないようです。
では、何故、お手伝いをしているのか?それは、断わってもしつこく呼び出されるからだそうです。学園とはいえ、毎回断わることも出来ないようで、それなら最初からやってしまった方がいいと割り切ったようでした。
そして、今回も一緒に生徒会室にとお誘い頂いたので、思い切り不服そうなシェラザード様とお邪魔することになりました。
シェラザード様が同伴だからと、油断していたのかもしれません。扉を開けた室内には、あの王子と主人公もいたのです。
そのまま何も無かったかのように扉を閉め、私を引っ張っては歩き出したシェラザード様。でも、目の前から現れた兄王子によって、立ち止まることになりました。
「シェラ、サザライト嬢も来てくれたんだよね?」
「どうしてロイドは兎も角、他の令嬢がいるのでしょう?」
「僕が誘った訳じゃないよ。」
つまり、あの王子?王子が兄王子の手伝いをしているのは知っていた。だからって、何故、主人公を?
「来年の生徒会を担うメンバーって事かな?」
「私はお断りしましたが。」
「しゃあ、サザライト嬢だけでもどうかな?」
あ、シェラザード様の目が皿の様になっている。
「冗談だよ。だから、そんな怖い顔で僕を見ないで。でも、ロイドも誘うんじゃないかな?王族としてロイドの参加は絶対だし、気心知れている二人が傍にいてくれるのは心強いと思うから。」
シェラザード様が気心知れているのは理解出来る。でも、私は違うよね?
「部外者みたいな顔しているけど、キミはロイドのことよく知っているでしょ?僕が妬けるくらいにね。」
まさか、こう真っ向からこんなことを言われるとは思わなかった。
「殿下に、一途は似合わないですよ。そんな基準で、人を見ていないでしょうに。」
「人聞き悪いなぁ。僕だって、シェラが羨ましいって思っているんだよ?」
「また、心にも思っていないことを。殿下は、他人を羨むことなどないでしょう。(使えるか使えないかが基準なのですから)」
2人の思惑なんて分からないけれど、私はこの寒い空気の中で凍えそうになった。
学園内なのに、殿下呼びだったな・・・。