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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第13章 憂いの理由


ーーお慕いしています、シェラザード様ーー

それは大切なシェラザード様にも、そして、王子にも確かに聞こえていた。甘い目で微笑むシェラザード様に反して、王子には打ちひしがれるには十分な出来事だった。

散々イチャついた後、公爵家の馬車に乗って帰宅した。

って、シェラザード様っ!!何か、火がついてません?首筋や鎖骨にまでシェラザード様の唇を感じるのですが?

「私も性格が悪いな。」
「えっ?」
「ロイドの打ちひしがれた顔を見て、喜んだのだから。」

そんなことで性格が悪いなんてことにはならないと思います。大丈夫です!!私が保証します。

一先ず、このまま襲われる羽目にならなくて良かったです。

「シェラザード様・・・優しくして下さいね?」

頬に口付けしてみれば、少しだけ赤くなってソッポを向かれた。たまに、こんな風に赤くなるのだけどそれも素敵です。

そして、あんな台詞を吐いた私はと言うと、落ち着いた自室で一人、羞恥に震える。

後悔はしないけど、本当に恥ずかしい。

でも・・・追い詰められた人は、とんでもないことをしでかすのが世の常で。気を引き締めて、断固拒否だ。

更に、人の慣れって凄いもので・・・。教室の中でのイチャイチャも浸透し、時折、触れるだけの口付けに対しても誰も叫んだりしなくなった。

時折、羨ましそうな目で見られるのには、申し訳なさがあるけれど。本当に、人って変われば変わるものだと思う。

このまま何事も起こらないのを祈るばかり。

この後、フラン様たちにも婚約者がいる事を知って、何気に夜伽も済んでいることを聞かされて呆然とする私。

ちなみ、四人揃って他国の令嬢だと言うことにも驚きを隠せなかった。家業で知り合ったらしく、遠距離ながらも仲睦まじいらしい。

だからか・・・アラン様が、主人公を運びたくないって言った理由は。あ、ただ嫌いなだけ?そうですか。

私なら運んでくれると?あ、シェラザード様から、凄い目で睨まれて、気まずそうに目を反らしましたね。

そして、数日後のその時間は明日になってしまった。
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