第2章 デートのお誘い
銀髪イケメンこと、公爵嫡男と知り合ってから四日後のこと。
放課後、突然の教室へと現れたアシュリー様。ちなみに、王子とは残念ながら同じクラス。居心地悪いったら、ありゃしない。
そんな王子が、アシュリー様に笑顔で声を掛けている。公爵家は、確かに王族と縁者。それに同じ年とくれば、仲もいいのかもしれない。
が、アシュリー様は王子を素通りしては、私の目の前に現れた。思わず、後退る私。ひょっとして、この前逃げた事に対する苦言でも言われるのだろうか?
怯む私に、アシュリー様は一通の手紙を差し出した。私は意味が分からず、手紙とアシュリー様を交互に見た。
「サザライト嬢、これは私からのデートの誘いだ。受け取ってくれ。」
アシュリー様の言葉に周りは騒然。私の頭の中も大変なことになっている。そして、アシュリー様は耳元で囁いたのだ。
「口止めを強固なものにしたいだろう?」
これは脅し?受け取らないと皆にばらすと!?こんな人だったの?力なく頷くと、アシュリー様は微笑まれた。それを見た周りが、またしても騒然。
どうやら、二つ名の【氷の貴公子】は的を得ていた様だった。
が、そこに不機嫌な様子で近付いてきた王子。
「何を考えているんだ、シェラ(ザード)。こんな女を誘うなど。」
王子から、こんな女呼ばわりされた。今の私は王子なんてどうでもいいので、気にしないけど。
だが、アシュリー様の次の言葉にもっと驚愕させられた。
「いつまで、幼い頃のことを根に持っている。今でも、サザライト嬢がロイド(王子)を慕っていると勘違いするな。」
た、確かにそうだけど!!激しく同意だけど。
そして、王子よ・・・何故、そんな驚いた顔をしているの?今の私は、王子なんて眼中にないのだけど。それに、アシュリー様が言ったことを否定するかのような眼差しを私に向けないで欲しい。
本当に、王子なんて至極どうでもいい。それに、前世の私はメインキャラだったから王子を攻略したけれど、どちらかというと王道の金髪碧眼より銀髪紫眼が好みだ。そして、顔面も然り。
この切れ長の目が堪らない。
「今度は逃げてくれるなよ?」
「えっと・・・善処します。」
「帰るのだろう?馬車まで送ろう。」
これは断われないヤツだ。力なく頷き、アシュリー様の後を付いて教室を出た。