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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第10章 主人公登場


「えっと・・・私が齧ってますけど、いいのですか?」

何がなどと必要ない。シェラザード様の口元に差し出すと、パクリと口の中に収めた。

「美味い。許されるなら・・・侯爵家に婿入りしたい。」
「えっ?」

あ、秘蔵とか言ったから?

「冗談だ。アメリアを嫁に貰う。安心しろ。」
「シェラザード様・・・育ち盛りですものね。」

急にそんなことを言ったから、目を丸くしたシェラザード様は、それでもそうだなと言ってくれた。育ち盛りと言ったけれど、身長は私の軽く頭1個分以上違う高身長だし、白いご飯の上に甘い焼肉のタレを染込ませた焼肉を乗せた焼肉弁当なんて食べさせられない。

美味しいけど。イメージが・・・。

「もう取り上げたりしないから、ゆっくり食べろ。」
「はい。」

食べ終われば、まったりと穏やかな時間を寄り添って過ごす。絡められた指がそのまま握り締められていて、幸せな時間だった。

「アメリア、口付けをさせてくれ。」

私が嫌がることはしないし、無理強いもしない。そして、魔法壁を信じて、少しずつ触れ合いも慣れつつある。

でも、今日の口付けは長かった。少し頬を赤く染めながらも、シェラザード様に手を引かれて教室へと戻った。

主人公はまだ戻ってきていない。シェラザードの容赦ない拒否はいつものこと。だから、周りも特に気にしていない様だ。

婚約者として縁を結んだことも、学園の中であっという間に広がって行ったことで私を表立って口さがなく言う人は減っている。

純粋なヤッカミはあるけれど、それは気にしない様にしている。仕方ないもんね。

主人公は相変わらず、王子と仲良くしている様で、時折、確かめるかの如く視線を感じる。決して、私は気付いていても目を合わることはない。

編入してきて2週間ほどが過ぎた。今では、当たり前の様に王子の隣りに存在している。王子の学友たちも、主人公を当たり前に認めている。

王子の学友は、攻略キャラの人たちだ。主人公はこの様子なら、王子を攻略しているのかな?

それでも、鋼メンタルの主人公は、どうやら私を諦めてくれなかったらしい。目の前で可愛い顔のまま仁王立ちしている。

今日こそ一緒にお昼を食べようだなんて、意味が分からない。何故、そんなことを主人公に決められないといけないんだ。

ここで私が拒否したら、泣かせる事になるのかな?




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