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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第9章 王立図書館


忙しいんだよね?それなのに、シェラザード様との二度目のデートは迅速だった。というのも、シェラザード様のお父様から率先して私との時間を持つように言われたから。

前回はお昼からのお出掛けだったけれど、今回は朝から。そして、今日のシェラザード様の私服姿も素敵でした。

王立図書館は、貴族に籍を置くものなら誰でも利用可能。だから、休日となればたくさんの貴族が利用している。

私とて、入学する前には一度だけ利用したことがある。でも、周りの視線に耐えられず早々に退散した。特に、令嬢たちからの侮蔑じみた視線に耐えられなかったのが原因。

でも、今日はシェラザード様が同伴。こうして傍に居てくれるだけで、心の底から心強い。私の好みの系統を話せば、シェラザード様が見繕ってくれることになった。

そして、その時間も私の手はシェラザード様と繋がれている。しなやかな手が本をなぞっていく。

「これがいいだろう。隣国のことが書かれたものだ。歴史も然り、文化も然り。」
「ありがとうございます。では、これにしたいと思います。シェラザード様は如何されますか?」
「私もたまにはアメリアを真似てみようと思う。確か・・・あぁ、これだ。」

二冊の本を取り出したシェラザード様。私の分の一冊を受け取ろうとしたのだけど、微笑み一つで拒否された。どうやら、持っていってくれるらしい。

何処までも紳士だ。ありがとうの意味を込めて、繋いだ手にキュツと力を込めた。少しだけ目を細めた後、読む為のエリアに連れられて行く。

2人並んで静かな空気の中に溶け込んだ私たち。内容はおススメしてもらっただけあって、本当に興味深く直ぐにのめり込んでいった。

ちなみに、この書物一冊の厚みは軽く見積もっても5cmくらいの分厚さ。読み応えありそう。

前世でもそうだった。一度のめり込んでしまったら、周りが見えなくなってしまう。だから、シェラザード様の指が私の髪を梳くように触れた事に驚いて身体が跳ねてしまった。

「シェラザード様?」
「いや、えらく集中しているなと思って。私が選んだものにそうも気に入ってくれたことは喜ばしいのだが・・・私の存在を忘れていないか?」

何これ・・・シェラザード様が可愛い。

「ごめんなさい。本当にこの本が面白くて。」
「いや、こんなことを言ってしまったが、ただのヤキモチだ。続きを読んでくれ。」

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