第6章 リベンジデート
やって来ました。前世も合わせての、初デート。言い方を変えれば、リベンジになりますが。
歩きやすい装いをしつつ、シェラザード様のお迎えを待つ私。ずっとソワソワしっぱなしである。
この世界の貴族のデートは、どうやら待ち合わせと言うのは殆どないらしい。何って至れり尽くせりなんだろう。
部屋の中でウロウロとしていると、メアリーから到着の知らせを受けて玄関へと下りて行く。
いつもの制服姿ではない初の私服姿。うっ、素敵過ぎて鼻血出そう。男性だけど、綺麗だ。エスコートされては、二度目の公爵家の馬車に乗り込む。
良かった・・・今日は向かい合っての乗車だ。無口なシェラザード様だけど、ただそこに居るだけで充分だ。これでお喋り雀だったら、残念でならないと思えるほどに。
比較的治安のいい街の一角に馬車が止まり、私たちは馬車を降りた。連れられて行った先は、王族御用達のコスター宝飾店。そう、王族御用達!!
当たり前の様に中に入り、煌びやかな装飾品を見て回る。勧められたのは、私の瞳の色ピンクトルマリンのネックレス。因みに、値札はない。
前世は庶民の私。値札がない商品は、腰が引ける。
「どうだ?私は似合うと思うのだが。」
「き、綺麗だと思います。」
でも、私には勿体ないと思います。ただ、目の保養として眺めるまでは、それなりに楽しかった時間でしたが・・・。
「そうか。では、これを貰おう。」
「えっ?」
戸惑う私に反して、話しは進められていく。慌てて拒否しようとしたのだけど、シェラザード様に半ば強引にプレゼントされた。
一体、幾らしたんだろう。それに、初デートの記念になんて。もう、何って男前なんだろう。そして、私に何を求めているのだろう。
「シェラ?」
奥の部屋から出てきたのは、あの王子でした。最初はシェラザード様に気付いて嬉しそうに近付いて来たけれど、私に気付いて眉を顰めた。
「何で、この女なんかが王族御用達のこの店に・・・。まさか、シェラに強請ったのか?お前という女は、何処まで厚かましいんだ。恥を知れ!!」
目くじらを立てて私に向かってズカズカと近づく王子から、守る様にシェラザード様が立ち塞がった。
「誤解しないでいただけますか?ロイド殿下。誘ったのは私です。」
「えっ・・・どうして。どうしてシェラが・・・。」
王子・・・どれだけ私を目の敵にすれば気が済むの?