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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第27章 冬の聖夜祭


私の背と腰に回された腕の力を強く感じると、少し溜め息が零れた。私の頭に顔を埋めているシェラザード様だったけれど、どうやら何かに気を揉んでいる様に思う。

「シェラザード様?」
「こんな雰囲気のいい時間なのに、全く無粋だな。」
「えっ?」

振り返れば、カーテンの隙間から幾人かの目。思わず、小さく悲鳴を上げてしまう。

「でも・・・だったら、見せつければいいか。」
「えっ?あ、んっ!!!」

強引に重ねられた唇に、黄色い声と悲鳴に近い声の中、私たちのキスシーンをお披露目したシェラザード様。恥ずかしくて離れたくとも、ビクともしない腕に段々と諦めモード。

腰が砕けそうになるほどの熱を注がれ、やっと私を解放した。危なかった・・・もう少しで、小鹿になるところだった。

「なぁ、アメリア。今日は私とこのまま夜を過ごすよな?ま、拒否はさせないしこのまま連れて帰るがな。」

だったら、私に聞く必要なんてないのでは?あ、ひょっとして、後ろのギャラリーにお聞かせしたかったのですか?そうなのですね。

そして私はと言うと・・・

「喜んで。」

居酒屋のスタッフのような返答をしてしまった。でも、珍しく驚いた顔をしてが、破顔してくれたのでヨシとする。

会場に戻れば、頬を赤く染めた御令嬢たちがいた。きっとその人たちが、ギャラリーしていた令嬢たちだろう。

「アメリア、そろそろ暇しよう。我慢出来そうにない。」

あ、令嬢たちがシェラザード様の色香にやられて、何人か倒れちゃった。うん、うん。私も気持ちは分かる。

扉を開けては足早に会場を後にする。いつもより歩くのが早い。あっ、と思った時には抱き上げられていた。

「こっちの方が早い。」

お手柔らかに~の言葉が、頭の中でリフレインする。でも、決してそうならないのだろうなと諦めに似た気持ちも存在している。

でも・・・馬車の中ではダメ。そんな甘い目で見ても断固拒否。だったら、代わりに一緒にお風呂に入っていいかなんて。嫌だって言っても聞き入れないでしょうに。

あ~、でも、今日もカッコイイ。神様、シェラザード様を作ってくれてありがとうございます。でも、でもね・・・少しでいいので、私の身体を労わることを覚えさせてくれませんか?
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