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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第19章 デートと嫉妬 


デート日和の青空。暑い季節だけど、この領地は心地いい風が吹くので嬉しい。向かった先は、大通りに面した町並み。繁盛している様で、賑わっている様だった。

シェラザード様の手にしっかり掴まれ、私は安心して注意力散漫になっている。気になったものは、一緒に覗いてくれる。

シェラザード様の領民からの心証は良かった。普段から、色々と気遣っているからなのだと思う。と言うことは、こんな風に若い領民からも慕われている訳で・・・。

居心地悪いのに、全然、離してくれない。嫉妬の目を多大に浴びているから、少しだけでも離れようかなと思っていたのだけど。

さり気なく押し退けようとする女の子がいるけれど、その度に抱き寄せられるんだ。少しなら私も我慢できるから、この輪から解放して欲しい。

「こら、私から離れようとするな。」

黄色い声が上がる。耳が痛い。そして、更に視線が痛い。

「痛っ!!」
「どうした?」

痛みを感じた腕を見ると、誰かにつねられた様な後。赤くなっている。

「誰だ、私のアメリアに傷をつけたのは?」

ピキーンっ!!と、空気が冷えた。犯人を見つけたらしいシェラザード様は、逃げようとしていた女の子の前に立ち塞がった。

「お前だな。」

最早、確認ではない。女の子は私をキッと睨みつけるが、いきなりシェラザード様は女の子の頭を鷲掴みしてはどこかに消してしまった。

周りは騒然。

「シェラザード様、今の女性は何処に?」
「山の麓だ。徒歩で帰って来るのは、少々骨が折れるくらいの距離だ。」

その言葉に、皆は安心した様だった。

「少々と言うのは、どれくらいですか?」
「半日も歩けば着く。」

あ、皆が固まった。女の子の足で半日って。山の麓・・・あ~、まさかと思うけどあの一際高いやまのことかな?

「それより、腕を見せろ。」

掴まれて腕が目線に上げられる。チュッと触れたシェラザード様の唇。今度は、また黄色い悲鳴。

でも、唇が離れた時には、痛みも赤い色も無くなっていた。

「治して下さったんですね。ありがとうございます。」
「当然だ。ほら、次、行くぞ。」

女の子の群れから脱出しては、食堂などのエリアへと入った。その中の一軒に入り、領地の特産物だと言って、きのこが使われた麺料理をオーダーしてくれた。



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