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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第2章 デートのお誘い


「これも中々いいな。美味い。」
「気に入って頂けて何よりです。」
「そろそろ時間か。教室まで送ろう。」

これ以上目立ちたくないからお断りしようとして・・・あの紫水晶に無言の圧を掛けられて、早々に白旗を上げた。

教室までの間、チラチラと視線を集めるシェラザード様。本人は毅然としたまま気にする素振りもない。メンタルが鋼じゃない私は、毅然とした風を装いながらも、内心はとんでもない状態。

そして、既視感?王子と王子のご学友たちが、私たちに気付く。あんなに凹んでいたにも関わらず、ある意味鋼のメンタルをしている王子はシェラザード様に声を掛けた。

歩みを止め、真顔のまま立ち止まったシェラザード様。私はこれ幸いとお礼を言いつつ、その場から逃げようとしたのだけど・・・私の名を呼ぶ声で逃げ出すことは諦めた。

「シェラ、週末出掛けるのだが付き合わないか?」
「断わる。行くぞ、アメリア。」

付き従う従者の様に、私は歩き出したシェラザード様に付いていく。というか、相手は王子。いいの?あんな取り付く島もない返答で。不敬にならないの?

そして、取り残された王子を私は見ることは怖くて出来なかった。拒絶のやり方が半端ない。相手は王族なのに。

教室まで送って貰うと、平身低頭でお礼を言う私。味方にしたいとは思わないけど、敵には回したくない。

「では、放課後、迎えに来る。」

ポカンとする私をその場に残して、シェラザード様は自身の教室へと向かわれた。

えっと・・・放課後、迎えに来るって言った?うん、確かにそう聞こえた。

何故?

幾ら考えても、その意味が分からない。そして王子よ。貴方は、また・・・ですか。もういい加減、放っておいて欲しいのですが。

が、途中で何か思い出した様で、少し顔を強張らせては授業に集中した様だった。そう言えば、もう大丈夫だと言っていたシェラザード様。

一体、何を言ったのやら。

そして、今日とて同じようにただ馬車まで送ってくれるシェラザード様。その行動の意味を全く理解出来ない私は、今日もお疲れで帰宅するのだった。

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