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東京卍會のお姫様

第10章 エーデルワイス


side灰谷竜胆

「…東堂ちゃん?」

兄ちゃんがよそ見してたせいで女の子にぶつかってその子は弾き飛ばさた。すかさず手を差し伸べたけどなかなか謝らない兄の口からでた名前に心臓がドクンと音を立てた。

『蘭…ちゃん!?』

…手まで握ってるのに目の前にいる女の子の顔が見れない。

『竜ちゃん…?』

覗き込むように俺と目を合わせた女の子。
ずっとずっと会いたかった人。

「東堂…っ」

『ど…どうしてここに?』

「どうしてって…ここ六本木。
俺らのシマだからなあ」

昔六本木のホテルでパーティがあったとき兄貴とこっそり2人で忍び込んだ事があった。ぐるぐる回ってたら庭にたどり着いて1人で遊んでる東堂を見つけた。お人形さんみたいに整った顔の女の子が花冠を作ってて…思わず話しかけた。ドクンって心臓が鳴って…一目惚れだった。

それから名前だけ聞いてバイバイしたあとも会いたくて会いたくて、六本木を見回るついでにずっと探してた。偶然を装って何度も見つけては何かと理由をつけて一緒にご飯を食べたりしていた。最初蓮くんに会ったときは大人な彼氏がいたんだってすげえ落ち込んで帰ったっけ…今考えたらダサすぎる…。それから何度も兄ちゃん同士を含めた4人でご飯いったり楽しかったな…。

『蘭ちゃん綺麗すぎて一瞬女の人かと思ったよ!なのに兄ちゃんて呼ばれてるから…!』

「ははっ!俺綺麗?美人な東堂ちゃんに言われたら照れるなあ。あ、さっきはぶつかってごめんね?大丈夫?」

二人の会話でこちらに意識を戻す。
兄ちゃんのこと綺麗って…確かに綺麗だけど俺のこともみてよ。

『私が前見てなかっただけだから全然っ
私こそごめんね…竜ちゃんありがとうね』

ごめんねと眉を下げて謝る東堂が可愛い。
竜ちゃんと呼ぶ声がたまらなく好きだ。

「いや…別に全然」

なんか照れくさくて愛想のない返事をしてしまった。

「それにしても久しぶりだね?
元気だった?ご両親のこと聞いたよ…」

言い直そうか悩んでたら兄ちゃんが口を開いた。

『あ、うん…なんとかっ』

ニカッと笑って見せてくれたけど目の奥が悲しそうに揺れている。

「無理に笑わなくていいよ東堂」

俺が笑顔にしてやりたいって心から思った。
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