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東京卍會のお姫様

第10章 エーデルワイス


少しだけメイクを直そう。
お兄ちゃんが待ってるから早く戻んなきゃ
足早に出ると丁度廊下を歩いていた人とぶつかってしまった。

ドンっ

私が弾き飛ばされるように尻もちをついた。

『きゃっ…
ご、ごめんなさい!』

「おい兄ちゃん何してんだよ!
前見て歩けっつったじゃん!
ごめんな、大丈夫?」

ぶつかったのは私なのに優しく手を差し伸べて起こしてくれた彼。

「痛いとこないか?
おい、兄ちゃん謝れよ」

「…東堂ちゃん?」

え…私の名前。その声に顔を上げる。

『蘭…ちゃん!?』

じゃあ今私の手をとっている優しい彼は…

『竜ちゃん…?』

「東堂…っ」

『ど…どうしてここに?』

「どうしてって…ここ六本木。
俺らのシマだからなあ」

あ…そうか。東卍と敵対関係にあるチームはたくさんあるらしくて、六本木にはチームを作らず仕切っている兄弟がいるって聞いたことがある。蘭ちゃんと竜ちゃんの事だったんだ…。

2人とは私が小さい頃に行った六本木のパーティ会場で出会った。退屈で会場の庭に逃げ出したの。そしたらたまたま2人がいた。日が暮れるまで遊んだ。名前だけを聞いてその日はバイバイしたんだけど、私が六本木へ行くたびに何故か必ずバッタリ会うの。2人が案内してくれたり遊んでくれたりして…けど両親がいなくなってからはここに来てないからしばらく会ってなかったんだ。

『蘭ちゃん綺麗すぎて一瞬女の人かと思ったよ!なのに兄ちゃんて呼ばれてるから…!』

「ははっ!俺綺麗?美人な東堂ちゃんに言われたら照れるなあ。あ、さっきはぶつかってごめんね?大丈夫?」

『私が前見てなかっただけだから全然っ
私こそごめんね…竜ちゃんありがとうね』

手を差し伸べてくれた竜ちゃんにお礼を言う。

「いや…別に全然」

「それにしても久しぶりだね?
元気だった?ご両親のこと聞いたよ…」

『あ、うん…なんとかっ』

六本木、懐かしい友達、両親の話題。苦しい…だけど心配させる訳にはいかないと頑張って笑ってみせた。

「無理に笑わなくていいよ東堂」

昔から私の気持ちにすぐ気づいてしまう竜ちゃん。その優しさに何度助けられただろう。

「東堂ー?
遅いから様子見にきたぁ…って灰谷's?」

「あ、蓮くん久しぶりーい」

蓮くんって私のお兄ちゃんのこと。
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