第9章 同棲気分??
side三ツ谷
場地に東堂を任せて俺が買いに来たのはラムネ。あいつ毎年飲んでるから。他にもなんかないかなーなんて見てたら時間かかっちまった。
待たせてた場所まで近づくと場地じゃなくて八戒といた。てか、何してんだあいつら。八戒が東堂の手首を掴んで…え?指…食ってんの?どういう状況。なにかに気がついたようにスっとすり抜けた東堂が八戒に一瞬背を向けてカバンを漁り出した。ある一点を見つめて八戒の目が見開く。
あ、やべ…キスマ付けたんだった
すげえ薄かったのによく気づいたな…。
カバンから取り出したティッシュで八戒の口元を拭いている手首を八戒がもう一度掴んで抱きしめるように東堂の肩に顔を埋めた。
「ねえ…首のうしろ…。
東堂ちゃん彼氏いたの…?」
聞こえてくる今にも泣き出しそうに震えた八戒の声。
『か、かれし?いないよ?』
なんの話だろうとキョトンとしている東堂。
こんな状況になったのは自分のせいだけど他の男とあんな距離にいる東堂をこれ以上見てられない。
「おい。なにしてんだよ」
「タカちゃん…。」
空いていた東堂の隣、八戒の反対側に座りグッと肩を引き寄せて俺のつけた印の上からそっとキスを落とした。眉間にキュッと皺を寄せて苦しい表情になる八戒。
『タカちゃん?戻ってきたの?
わー!ラムネだ!1口ほしいっっ』
俺の手元にあるラムネを見つけて笑顔になる東堂。今のキスをこいつはおやすみのちゅーみたいな愛情表現だと思ってんだろうな。でも八戒、お前にはこれがどういうことか分かるだろ。譲れねんだよ。
「八戒、これ付けたの俺だから。」
「タカちゃん…?」
『ねえなんのお話?』
「お姫様はまだ知らなくていいよ
これ、お前に買ってきたやつだから
全部やるよラムネ好きだろ」
『えっ!たかちゃんもくれるの!
わああ、嬉しいありがとうっ』
俺と八戒の空気に全く気が付かないこいつの鈍感さとピュアさが逆にありがたい。皆に必要以上に愛されてるんだよお前は…。