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東京卍會のお姫様

第9章 同棲気分??


「ご、ごめっ///」

ああもう…何してんだよ俺…
緊張しすぎだろ…。正直わたあめの味なんて分かんなかった。

『ありゃ、指も食べられちゃったっ』

へらっと笑っている東堂ちゃんはまたわたあめを食べ始めた。仮にも俺が1度口に入れてしまった指を嫌がることもせずに…。そんだけ意識されてねえんだよな。なんか悔しいな…。

「もう一口ちょうだい」

何言ってんだ俺。
別に綿あめが食べたいわけじゃない。
いや、いけ俺。

『もちろん。カイちゃんがくれたんだから一緒に食べよう』

そう言ってもう一度俺の口元に可愛い指先が近づいてくる。今度は故意に指ごとわたあめを含んだ。あま…っ。また食べられたーって君が笑うから。俺間違えて食べたんじゃないよって。もっと意識して欲しくてまだわたあめの残る指を舐めた。

『カイちゃ…っ』

ビクッとして引き抜こうとした手首を捕まえて視線を合わせた。自分でやっといてこっちの心臓がもたない。東堂ちゃんの揺れる瞳に自分が映ってる。

「東堂ちゃん…」

こんなに騒がしいお祭り会場に俺たち2人しかいないみたいに全部の音が聞こえない。俺の視界には今東堂ちゃんしかいないし、東堂ちゃんの瞳にも俺だけが映ってる。息がかかるほどの距離。キス…したいな。いつもと違う格好、髪型、メイク、全部がかわいくて綺麗で、仕草も声も全部が俺の胸を締め付けて苦しい。キスなんてした事ないし、そもそも女の子とこんな距離で話したことなんて姉以外いない。

『カイちゃん…?
わたあめ美味しくなかった?』

いつもと様子の違う俺を見て心配そうに覗こんでくる
東堂ちゃん。

するっと俺の手から細い手首が抜けて一瞬背を向けて反対側に置いてあるカバンを漁り出した。

え…っ。首の後ろについてる小さな薄い紅い印。
誰がつけた…?

ウェットティッシュを出してきて俺の口の横を優しく拭いてくれた。その手首をもう一度掴んでグッと引き寄せた。キスをする勇気なんてなくてポスっと肩に顔を埋めた。

「ねえ…首のうしろ…。
東堂ちゃん彼氏いたの…?」

もう泣きそうなのが自分でもわかる。

『か、かれし?いないよ?』

キョトンとする彼女の向こう側に戻ってきたタカちゃんが見えた。
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