第9章 同棲気分??
いつも以上にギュッとしがみつかれて心臓がもたない。
『圭介くん!お祭り楽しみだね!』
「ん、そーだな」
毎年同じことを言ってる気がするけど、こいつは毎年お祭りを楽しみにしてて、祭り会場に着くまでの道でいつも今日は何を食べるんだーって嬉しそうに教えてくれるんだよ。きっと今年も同じだ。
『今日はね、まずチョコバナナ食べる!そのあとイチゴ飴たべて、それでそれでね、わたあめとラムネも買う!かき氷も食べたいなあ。』
ほら始まった。あのねあのねってたくさん教えてくれるこいつが可愛い。出会った頃はあまり笑わなかった東堂を笑わせたくて喜んで欲しくて祭りに連れてったんだ。初めて来たって言って目をキラキラ輝かせてた。そしてその日、こいつはたくさん笑ってた。だから毎年連れてってやろうって思ったんだ。こいつの笑顔の理由の中に俺が存在してほしい。
「甘いもんばっかじゃねーかよ笑」
『あ…!ほんとだ…もっかい考える!』
背中に感じる東堂の体温。もう神社がみえてきた。このまま着かなきゃいいのにって考えてのるのは俺だけで、東堂の頭の中はお祭りの食べ物でいっぱいなんだろう。
『んーー、焼きそばとかは?
圭介くん一緒にたべようよ』
好きだったよね?と聞いてくる東堂。確かに俺はいつもペヤング食ってるけどさ。知ってたんだって思っただけですげえ嬉しかった。
「一緒にくうか!」
『うん!楽しみだねー!』
神社について、行きと同じく浴衣を崩さないようにそっと抱き上げて降ろしてやった。
『ありがとう圭介くん』
「おう、浴衣崩れなくてよかったわ」
神社に着いたのは俺たちが最後だったらしくマイキーたちが待っていた。はやくって俺の手を引く小さな手。ほんとこの時間がずっと続けばいいのに。