第9章 同棲気分??
『あのね、今見た夢でね。もう寝るねって言った私に、お母さんがおやすみってほっぺにちゅーしたの。そう言えばお母さんは寝る前に必ずほっぺにちゅーしてくれたなって思い出したらすごく寂しくなっちゃって…。』
ああそういうことか。
今にも泣き出しそうな東堂を見ていると俺まで胸が苦しくなる。大きな2つの瞳が濡れていて零れそうになるのを堪えている。俺からすれば好きな女の頬にキスするって行為は変わんないわけだから、それなりに緊張するしさっきから心臓がうるさい。
俺は上半身を起こして東堂の小さな顔に片手を添えた。
「東堂。…んっ」
やばい…しちゃった…!顔見れねえ…。
『たかちゃ…うっうう…ひぐっ
あり…がとおっ…ううっ』
色々思い出しちまったんだよな。
そのうち俺が全部塗り替えてやりたい。
「毎日してやっから。泣くな東堂。」
頭を撫でてもう一度頬にキスを落とした。
『んっ。毎日してね…たかちゃん。』
「おう。約束だ。」
俺はなんて最低なんだろうか。悲しくて寂しくて苦しくて自分の母親と重ねて俺を求めてくれたのに。それなのに俺は違う感情でお前にキスをしてるんだ。好きで好きで仕方ない。お前が求めるならどんな理由だろうと俺はその穴を埋めてやる。俺だけを求めてくれなんてワガママだよな。きっと俺や場地の他にもこいつを好いてるやつはいるだろう。けどな、俺が1番お前のこと好きだよ。大好きだ。
安心したのかスースーと寝息を立て始めた東堂。
「さて…俺も寝ますか…」
今日も理性を保てそうだ。
また明日も頑張るぞ…。