第8章 蒼
side場地
イチゴのかき氷を2つ手に持った東堂が三ツ谷と一緒にもどってきた。あまりに遅いんで俺も様子見に行こうかと思ってたところだ。
『エマー、かき氷一緒に食べよう!』
「え!うん!たべる!東堂ありがとう!」
あの二人ホント仲いいな。微笑ましいわ。
俺も1口もらおっかな。
「なー東堂。あーーん」
『?? あーーっ』
いや違ぇよ。なんで一緒に口開けてんだアホか
天然め。かわいいなくそ。
「ちげーって、あーん。1口くれや」
『あー!はいどーぞ。あーんっ』
つめてー!うめー!夏の味だーー!
はーい、三ツ谷睨んでるーう。こっわあ。
あれ…?
「なにお前、泣いたの?」
そう言って東堂の小さい顔を包むように両手を添えると少し赤くなっていた大きな2つの瞳が揺れた。普通なら気づかねえかもしんないくらいほんのり赤かっただけ。泣いてた…?どうして?
『いや、んー圭介くんには隠せないね、はは』
困ったように笑うこいつを見て何故か出会った日を思い出した。人気のない公園で1人泣いてたこいつに俺が話しかけた。寂しいと泣くこいつをどうしても放って置けなかった。あの頃に比べて随分と笑うようになった東堂。だけどこうやって無理して笑うとこを見ると辛くなる。お前が全部吹っ切れて毎日心から笑える日が来ますように。そんとき俺が、俺たちが、お前の隣にいられますように。
『私ね、みんなの事が大好きなんだ。なのにいつも迷惑ばっかかけてるんじゃないかって急に不安になってね。皆に置いてかれたらどうしようって。そしたらたかちゃんに叱られた。いなくなんねえからお前から1人でどっかいかないでくれって…。圭介くん。いつもそばにいてくれてありがとね』
そっか。こんなに俺たちから愛されてても不安なのか。そうだよな。あんなに愛してくれてた親がいなくなっちまったんだ。こいつの不安とか全部俺たちが消してやりたい。ずっとそばにいてやるよ。
「心配すんな。一生お前のそばにいてやるよ」
『うんっ!約束だよ圭介くん!だーいすき!』
この笑顔を守るためならなんだってする。
だから俺たちから離れていかないでくれ。
「ああ、俺も大好きだ」
お前が思う好きとは違うけれど安心させてやりてえから。おれも大好きだと言ってやった。