第8章 蒼
side場地
今日は東堂がすげえ楽しみにしてた
みんなで海に行く日。
三ツ谷と二人で東堂んちまで迎えに行く。
行きも帰りも俺の後ろに乗って欲しかったけど
東堂が行きは俺、帰りは三ツ谷って言ったんだ。だからもちろん言う通りにするしかねえじゃん?
『海までお願いします!』
こいつはいつもケツに乗るときは必ず、お願いしますって言う。今まで気にしたこと無かったけど、そんなこと言うやつ1人もいなかったし、けどそういう一言を言ってくれるだけでいいやつだなーって毎回思う。何回でも乗せてやろうって思う。
「おう、まかせろー!」
ブォーンブォンブォン…
『けーすけくん!バイク気持ちいね!』
しばらく走って後ろから可愛い声がした
「だろ!?いつでも乗せてやっから乗りたくなったら言えよ!」
そうだ。お前の頼みならいつだって乗せてやる。
『わー!ほんとに!?圭介くん大好き!』
またこいつは…顔が見えなくてよかった。
だって多分今俺すげえニヤけてる。
前にした泊まりで俺はこいつへの気持ちに気づいちまった。無駄に意識しちまうだろ。三ツ谷には気づかれてそーだけど。
「あ、たりめーだろいつでも言えや…///」
思ったより小さい声しか出なかった。
だけど背中に感じる東堂のぬくもりとか、見なくてもわかる幸せそうな表情とか、それだけで俺もすげえ幸せな気持ちになる。
「おい、もーそろつくぞ」
俺が声をかけると腰に回っていた東堂の腕に力が入った。
『ほ、ほんと!あ!海見えた!!!』
ほんっとガキみたいで可愛い。