第4章 姫様
side柴八戒
今日の集会は解散後にドラケンくんの誕生日を祝うらしい。
楽しみだなーと考えながら集会にむかう。
遠目に見覚えのある女の子を見つけて気づいたら走り出していた。女の子と話したり同じ空間に居るのはあんまり得意じゃないんだけどこの人は特別枠。一緒にいたいとすら思う。
俺はその女の子の名前を呼ぶ。
『あー!かいちゃん!また背伸びた?』
俺はこの人に呼ばれるのが好きだ。
何でかはわかんない。
会う度に同じことを言ってくるこの人は多分155cmとかそんなもんなのかな。おれと30cmくらい差があるんじゃないかと思うくらい小さな女の子。俺の背に届くように精一杯の背伸びをする足元がプルプル震えてて可愛らしい。そんなことしても届かないのにと笑ってしまいそうになるのをこらえる。
「俺の事カイちゃんて呼ぶの東堂ちゃんだけだよ笑」
そう言うとなぜかしゅんとしてしまった東堂ちゃん。あ、俺が嫌がってるとか思わせたのかな…ちがうのに!
「あ、ちが、嫌とかじゃなくて!むしろ嬉しい!東堂ちゃんが呼んでるんだーってすぐ分かるし!まじで!東堂ちゃん専用呼び名!笑」
誤解をとこうと一生懸命説明した。伝わったかな?
『なーんだっ!良かった!これからもたくさん呼ぶねカイちゃん!』
ドクン。
え?…っ?なに。いまの…。ドクンて。ドクンってなった。
この笑顔見たら誰でもなるか…?いやちがう…まじか…。
「うんっ///」
自分でもびっくりするくらい小さい声だった。