第1章 夢の中
それから数日後 連日の寝不足が響き、勉強をしている途中に寝落ちしてしまった。
飛行機が炎を上げておちてゆく
見たのことも無い怯える母の顔と母を抱きしめ私たち兄妹の名前を呼ぶ父。
ああ、夢の中だ。
あの落ちている飛行機の中の光景か。
母と父は最期に私たちを思いながら亡くなったのだろうか。そんな夢だ。心地の良い夢ではないはずなのに、それでもいいから大好きな両親の夢を見られているなら覚めて欲しくないと願った。
“2人とも愛してる もっと一緒にいたかった”
そう聞こえたところで目が覚めた。
『…はぁ…はぁはぁ…会いたい…よ…。』
涙が止まらない。上手く息ができない。
両親との思い出が詰まったこの家では苦しくて
息の仕方さえ忘れてしまう。
何も考えずに家を飛び出した。
外の空気が吸いたかった。
しばらく走って公園についたところで足を止めた
昔ここでよく遊んでくれたっけな。
お父さん忙しかったはずなのに…この街はどこに居ても何をしてても思い出が多すぎて辛い。かと言ってこの街を出て両親との思い出を捨てるほど心は強くない。すぐ家に帰ることになるなんて家を出た時から分かっていた。
公園のベンチに座って唯一持ってきていたいちごミルクの飴を口に入れる。
『あま…。』
小さい時から母がよくくれた飴。
私はこの飴が大好きだった。
『ひっひぐっ なんでっ…おいてくの…っ
うあああああ 寂しい…さみ…しいよぉ…!!!』
抑えてた感情が誰もいない公園で声になって出てきた。止まらない涙を止める気もなかった。今は思い切り泣いてしまいたかった。