第4章 姫様
side夢主
「あの、すいません○○中の東堂さんでよね?」
『え、あ、はい、そうですけど…えっと…?』
学校へ行く途中、知らない男の子の集団に話しかけられた。ほんとに知らない人たち。誰だろうか…?
「「「ほら、早く。待たせんなってほら!」」」
1人を除いたその他の男の子達が何やらコソコソ話している。中心にいる男の子は顔を赤くしているが、意を決したかのように1歩前へでてきた。
「あ、あのっ!初めて見かけた時から好きでした。一目惚れなんです。だからその…おれとっ!」
ん?一目惚れ…?
「おい東堂。誰だこいつら。」
聞きなれた声になんだか少し機嫌の悪そうな予感がする。
『た、たかちゃん!?
この人たちはね初めましてなんだよ。ね?』
「あ、はい、そうっす…。東堂さんと仲良くなりたくて」
ほら!お友達になりたいだけだって言ってる!たかちゃんは喧嘩ばっかりしてるから皆のこと敵に見えるんだ!いい人だっているのに!!
「あ?こいつに気安く話しかけんな。いくぞ東堂」
『ちょ、ちょっとたかちゃん!まだお話の途中で…!
ごめんなさい!会えたら!また会えたら続き聞かせてね!』
手首を捕まれ学校へと引きずられる。
たかちゃんの手を振りほどくことはできないだろうから、あの男の子たちにせめて謝罪をしなければと引きずられながらもペコペコ頭を下げた。またね、ととびきりの笑顔も。
『たかちゃん。怒ってるの?私学校サボったりしないよ?それにあんなに強く言ったら可哀想でしょ?あの子たちはね、お友達になりたかっただけなんだよ?』
一目惚れのくだりはすっかり頭から抜けていた。
「はあああ…。おまえ。これから毎日東卍の誰かと必ず一緒に登校しろ。そうでもしねえと変な虫がつく。」