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東京卍會のお姫様

第16章 ベゴニア



『…っ竜ちゃ、苦しいよ…ふふっ』

「わ、ごめん。つい…」

俺の腕の中で苦しいと言いながら微笑む彼女。その笑顔に俺もなんだか釣られてしまう。幸せだなって…思う。

「もう寝る?たくさん歩いて疲れただろ」

『うーん』

まだ眠たくないようだが体はきっと疲れてる。そうでなくても横になってトントンと背中をさすれば寝てしまうような子だ。

「東堂ベッド使っていいよ
俺ソファで寝るから」

『…?』

キョトンとして俺を見上げる

「東堂?」

『一緒に寝ないの?お泊まり会なのに。それにベッド大きいから一緒に寝たって狭くないよ?』

立ち上がった俺の腕を掴んで言う。

「や…、さすがに俺も男だし…」

正直抑えられるか分からねぇ。
それなら初めから離れて寝た方がいい。

『…竜ちゃん私と一緒やだ?』

「そんなわけねぇだろ」

『私は一緒がいい…竜ちゃんと寝たい。』

そんなん言われて俺が断れるわけ…

「分かったよ。俺も一緒がいい。」

ないんだよな。

『えへへ、じゃあここきて!』

こんなことで笑顔を見せてくれる東堂が愛おしい。満足気にベッドへと潜り込み、ペラっと布団をめくって俺を招く。

「今日1日付き合ってくれてありがとな」

『こちらこそ誘ってくれてありがとう。
素敵なイブだったね竜ちゃん』

「あぁ、今までで1番だった。」

『ふふっそんなに??』

「そんなにだよ。
なぁ東堂…もっとくっついていい?」

隣に寝転がる彼女に顔を向けて聞くとニッコリと笑って、彼女の方から近づいてきてくれた。

『そんなこと聞かなくてもいいのに。
ぎゅうってしてよ竜ちゃん』

「…ん、おいで。」

広げた俺の腕に迷うことなく飛び込んできた小さな体。背中にまわされた腕があたたかい。

『竜ちゃんあったかい。』

「東堂もあったけーよ」

『髪の毛同じ匂いする。』

「同じの使ったからな。」

『竜ちゃんの心臓トクトクいってる。』

「…あんま聞くな。」

気づいたことを直ぐに口に出す東堂が可愛い。でも心臓の音だけは気づかないでくれ…今日1日ドキドキしっぱなしなんだよ…。
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