第16章 ベゴニア
熱いシャワーを頭から浴びて数分。
収まらない体の熱。
反り返った自身に手をかけると透明のとろとろが流れる。ここを出れば部屋にきらがいる。考えただけで下半身に熱が集まって溢れて止まらない。
1回…1回だけ。
1発抜いたらすぐでよう。
きらだって待ってる。
「…っはあ、あぁ…きらっ」
きらの名前を口にして扱く手を早めればすぐに襲ってくる射精感。
「は…あ、ごめんきら…っ
でももうきらじゃなきゃイケな…ッ」
1人でするときはいつもきらを頭の中で抱く。きっと瞳に涙を溜めながら俺の名前を呼ぶんだ。
竜ちゃん
そう呼びながら果てる愛おしい彼女を何度妄想で抱いたか分からない。それはもう申し訳なくなるほどに。
「きら…うっ、く…あぁっ」
ビュルッと勢いよく飛び出した白い欲。
それでも収まる気配のない自身を無視して風呂から上がるとタオルが…ない。やべえ部屋に忘れたんだ…。いやでも取ってもらうしかないよな。
「きらー…?」
『竜ちゃーん?どうしたのーっ?』
「タオル…部屋に忘れたからとって欲しい。」
『わ、ほんとだっ
今持っていくね!』
「待って!そんな急にあけん…なっ」
ガチャ
ノックもなしにバン!と開かれた扉。
「ちょ、ほんと待っ…てよ…。」
かろうじてその場にしゃがみこんで大事なところは隠せているが、俺の裸体がきらにさらけ出される。不意に見られるのってくそ恥ずい…。ましてや好きな子に…。
『り、竜ちゃ…ごめんねすぐ出るっ』
「ん、頼むわ…。」
控えめにパタンと閉じられた扉。
東堂が驚いて俺の足元に落としたタオルを拾って体を拭き部屋に戻る。
「お待たせ。
その、やなもん見せて悪かった…」
『おかえり竜ちゃん。
やなもん…?竜ちゃんの裸のこと?』
「…あぁ、ごめんな。」
『どうしてそんなこというの?
竜ちゃんの体は綺麗だよ。刺青も似合ってるよ。』
「…っきら」
『私こそ急に開けてごめんねっ』
「そんなん全然…」
綺麗だと言ってくれたこと、もう一度刺青を褒めてくれたことが嬉しくてドアをあけられたことなんて心底どうでもよく思えてきた。