第16章 ベゴニア
『似合ってるよ竜ちゃんっ』
「…マジで嬉しい…。
すっげえ大事にする。ありがとな」
まさか東堂からプレゼントを貰えるなんて思ってなかった。一緒にいられるだけでいいと思ってたから。
『喜んでくれてよかったあ…っ』
「どうしてピアスを俺に?」
『あのね、すっごい昔はね、魔除けとして身につけるお守り代わりだったんだって。竜ちゃんケンカ多いし…大怪我とかしたら嫌だから…だからピアスにしたんだよ。竜ちゃんがずっと元気でいられますよーにって。』
「んなこと考えてくれたのか?
はあ…東堂ちょっとこっちきて」
『うん…?』
きょとんとしている彼女の手を引いて自身の腕の中におさめた。この子は俺をどこまで好きにさせるんだろうか。俺を思って考えてくれた時間すら愛おしい。
「ねえ、俺からのも開けてみて」
するっと俺の腕から抜けて1番手前にあったショッパーをあける東堂。
『わあ…かわいいLip!』
「似合うと思って…さ」
『嬉しい!!かわいい〜っ!
ねえこっちも開けていい?』
「もちろん」
2つ目のショッパーに手を伸ばす東堂。
『わー!香水?
ふふ、いい匂いだなあ…っ
あれ…でもこれ竜ちゃんの匂い…?』
「ここの香水好きでさ、俺も同じの持ってんだ。昔はよくつけてたよ。前に東堂がこの匂い好きって言ってたの思い出して」
『懐かしい匂いって感じだあ
すっごい嬉しい!たくさん使うねっ』
「じゃあ最後のやつあけてみて」
『うんっ』
最後のショッパーを開けて目をパチクリとさせている。それもそうだよな。だって俺があげたものは…
『こ、これ指輪?』
「うん…」
彼氏でもない男から貰う指輪なんてさすがに気持ち悪いか?手に取った指輪をずっと見つめて何も言わない東堂にやっちまったかもしれない…と少々焦る。
『き…きれい…っ』
「え?」
『きれー!指輪貰ったのなんて初めて!
ありがとう竜ちゃん!!!』
思ってた反応と真逆で驚いた。