第16章 ベゴニア
「りーんどっ!
今日はまたすげえお洒落してんな
髪のセット時間かけすぎだろ…」
「うるせえな、いいだろ別に」
「東堂ちゃんとイブデートだもんねえ♡」
「…おう。」
気合い入れすぎたかな…
東堂に少しでも意識してもらいたい。
来年のクリスマスは彼氏として隣にいたい。
今日のデートがうまくいきますよーに。
「んじゃ行ってくるね」
「はーい、東堂ちゃんによろしくね
あと、避妊はちゃんとしろよ?」
「ばっか、手なんて出せるわけねぇだろ!」
「はははっ!冗談だよ竜胆〜!」
「はー…行ってきます」
「いってら〜っ」
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家を出る前にした兄貴との会話を思い出してなんかモヤモヤする。手なんて出せるわけねえんだよな…。怖がらせたくないし嫌われたくない。だかどいつかは…そういうことも許される愛のある関係になりたい。
東堂を迎えに行って瀬川さんにクリスマスプレゼントを渡して、俺たちは2人並んで歩いている。手とか…繋ぎたいけど…勇気出ないな。こういう時兄貴ならスマートにできるんだろうな。
『竜ちゃん、今日はどこ行くのー?』
「昼ごはん食ってから水族館とかどーかなーって思ってるんだけどどうかな?」
『わあ!水族館!前にお兄ちゃん達と行ったよね!すっごい楽しみだなあ…!考えてきてくれてありがとう竜ちゃんっ』
「そんなの、俺が誘ったんだし…
東堂こそ俺と過ごしてくれてありがと」
まさか本当に一緒に過ごせるなんて思ってなかったな。幸せすぎて罰当たりそう。他愛のない会話をしながら歩いているとランチのお店に着いた。
『わあ、素敵なお店…』
「ここはデザートで出てくるイチゴのタルトがめちゃくちゃ美味しいんだってさ。東堂ケーキ好きだろ?」
『うん好き!楽しみだなあ…っ』
それから出てくる料理何を食べても本当に美味しそうに頬張る東堂が可愛くて見てるだけで幸せな気持ちになれる。
『美味しいねっ!』
「うん、すげえ美味い。」
東堂と食べるご飯が1番うまい。