第16章 ベゴニア
『竜ちゃん今日は何食べるの?』
「んー、俺はチーズケーキにする
この前東堂が1口くれたろ?
あれすっげえ美味かったからさ」
『でしょ!美味しいよねえ
私は…ガトーショコラにしようかな
竜ちゃんがくれたのおいしかったから』
流れで前に来たカフェに今日は東堂と2人できたけどこれってデート…ってやつ?意識したら負けだぞと言い聞かせながらもドクドクと鳴る鼓動がうるさい。
「飲み物は?」
『んー、今日もアールグレイにする』
東堂は昔から紅茶好きだよなあ。
今度美味しい紅茶でもプレゼントしよう。
「分かった、じゃあ席座って待ってて
俺買ってから行くから」
『え、いいよ悪いよ!』
「急に会いに来たの俺だし
こういうのは男に払わせときゃいいの」
金に寄ってくる女なんてたくさんいる。
そんな女に出す金なんて1円もねえけど。
なのに好きな女ってすげえよな。
なんでも与えてやりたくなる。
ケーキ2つとコーヒーとアールグレイ。
会計をしながら東堂を探すとテラス席で外を眺めながら俺を待つ姿が見えた。マフラーをした制服姿の愛おしい東堂が。前回来た時は夏服だった。冬服も最高だわ、と思いながら店員からトレイを受け取り俺もテラス席へと足を進める。
「お待たせ、東堂」
『わ、竜ちゃん!ありがとう!
あ、テラス席にしちゃったんたけど…
寒い…よね?中にする?』
「いや、暖房の真横だし俺は全然…
外気持ちいし俺はテラス席好きだよ」
『ほんと?よかったあ!』
「うん、じゃーたべよ?」
『わあい!いただきます!』
美味しそうにもぐもぐとガトーショコラを頬張る東堂が可愛い。また口の横に付けてるし。
「東堂…口の横についてる」
『…とって竜ちゃん!』
口元を指で触って確認していたけど
見つけられなかったのか俺に頼むとこも可愛い
「…ん、取れた」
いつものように親指で拭ってそれを俺は舌で舐めとる。
『ありがとう竜ちゃんっ』
「どーいたしましてお姫様」
『あ、そういえば竜ちゃんさあ
今日なんか用があって会いに来てくれたんだよね?』
「あー…うん、そう…ですね。」
そうだ…あれを言うために来たんだ俺は…
頑張れ…言え俺!