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東京卍會のお姫様

第15章 ムスカリ


「兄ちゃん…あれって…」

「…東堂ちゃんだね、彼氏かな?」

少し遠目に見えた愛おしい人。
見間違えるわけなんてない。
男に手首を掴まれている…彼氏…?

だけど東堂とそのお友達の女の子が1人と…男が3人。人数比がおかしい。東堂の表情もどこか強ばっていて、友達の女の子は男をフルシカトしている。ナンパか…俺の東堂に触んな。ふざけやがって。

ズカズカと東堂の方へ歩みを進める俺の後ろを面白そうだと言ってニコニコ着いてくる兄貴。

うしろから東堂の腰を抱き寄せて男を睨む

「お前ら俺の女になんの用?」

『…っ竜ちゃん!?』

「…っ!は…灰谷兄弟…っ!」

俺らの顔を見るなり青ざめていく男。
そりゃそーだよな。
ココは俺ら灰谷のシマで、今俺はお前がナンパしたこの子を俺の女って言ったんだから。お前なんかが話しかけていい女じゃねえんだよ。

「なんの用かきいてんだけど?
お前らがコイツら連れてこーとしてたの向こうのホテル街だろ?あ?ふざけてんのかコラ、おい、なんとかいえよ?」

「いや…えと…っ!」

「あ?聞こえねえよなに?」

「す…すみませんでした…っ!!」

『り…んちゃん?怒ってるの?』

「ん、東堂に怒ってるわけじゃねえよ?
ごめんなデケェ声出して、ちょっとまっててな?」

東堂を怖がらせてしまったと少し焦る。
俺が喧嘩してるとことか見たことねえもんな。
東堂に見せる俺の方がレアなんだけどなと思いながらも男に向き直って再び睨みをきかせて詰める。

兄ちゃんは兄ちゃんでお友達ちゃんをサラッと背中で庇いながら警棒を振り上げていた。東堂が止める声が聞こえる。

「りんど〜もういんじゃねーのー?
そいつビビりすぎて気絶してんじゃん」

兄ちゃんの声で目の前の男を見れば白目を向いていた。殴ったわけでもねえのに情けねえな。

「…あ、ほんとだ、情けねえ男だな
こんなんで東堂に話しかけんなクソが」

『竜…ちゃん?』

うしろから聞こえた可愛い声。
だけどどこか不安げなその声。
いつもと違う俺に怖がっているんだ。
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