第15章 ムスカリ
奥のVIPルームに通され私たち。
初めてなのかソワソワしているエマ。
『エマ?大丈夫?』
「や、だってウチこんなん初めてだよ!?」
『そんな緊張することないよ!』
「失礼致します」
『はーいっ』
「こちららら社長に頼まれていたものです。
お確かめくださいませ。」
『エマ、これで合ってる?』
「合ってるって…えっと…これって、
ウチが欲しがってたピアス…だよね?」
『うん、そのつもりなんだけどコレかな?』
「うん、コレだけど…どこもsold outじゃ…?」
『お兄ちゃんに話したらお店の方が用意してくださったんだよ!無理言ってすみませんでした、コレで合ってます!ありがとうございます。』
「いえ、とんでもございません!
こちらどうなさいますか?
本日お持ち帰りになりますか?」
『はい、そうします!』
「お支払いはいかがなさいましょう」
『これでお願いします』
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
お兄ちゃんにエマと出かけると言ったらカードを持たせてくれた。黒色のカード。気遣わず使いなって、楽しんでおいでと。だけどこれは後でお兄ちゃんにお金を返そう。最近元気が無かったエマに私がプレゼントをしたかった。少しでも笑って欲しかったから。
「あの…東堂…ほんとに言ってる?」
『え、なになに?』
「このピアス高いと思うんだけど…っ!」
『私からエマにプレゼントだよ
少し早いけどクリスマスプレゼント』
「う…っそ。めちゃくちゃ嬉しい…!」
パアっと笑顔になるエマ。
『それに最近元気なかったから…
何があったか知らないけど…私エマには笑ってて欲しいの。エマのこと大好きで大切だから。エマが悲しいと私も悲しいよ。』
少し曇り顔になるエマ。
「…っ。何があったかは…その、まだ言えないんだけどね。東堂にお願いがあるんだ。聞いてくれるかな。」
『うん、なんでも言って』
「私のさ、お姉ちゃんになってよ」
『…お姉ちゃん?』
「うん。血縁があるわけじゃないし、本当のお姉ちゃんになれないのは分かってる。だけど…お姉ちゃんみたいな存在になってほしい。こうやって買い物に来たり、なんかあったら相談したり、一緒に寝たり…東堂みたいなお姉ちゃんがいたら私…すごい幸せだなって。」