第15章 ムスカリ
「わー…すごい高そう。
席もふっかふかだあ」
『ほんとだね。
ここなら何時間でもいられるねえ』
「なにたべよーかなあ。
東堂は決まった?」
『んー、迷っちゃうなあ。エマは?』
「うんとね、コレとコレで迷ってるんだあ」
エマが指さしたのはフルーツタルトとガトーショコラ。たしかに美味しそう。本当は竜ちゃんがおすすめしてくれた紅茶のシフォンケーキが気になっていたけど、それはまた竜ちゃんと来ればいいかなって思った。デートするって約束しているし。
『じゃあ、私ガトーショコラにするから
エマはフルーツタルトにして半分こしよう?』
「え、いいの!」
嬉しそうに目をキラキラさせるエマが可愛い。
『もちろんだよ、そうしよ!飲みものは?』
「んー、ウチはレモンティー!」
『私はアールグレイにしよっ。決まり!』
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「んー!美味しい〜っ!」
『わあ…ほんとに美味しい…っ!』
「ねえまた来よう!
他のやつも食べたい!」
『そうだね、また来ようね!
今度は賢君とマイキーも誘おう!』
「わー、それいい!」
それから、クリスマスパーティーは何を食べたいかとか、何時頃から集まるとか、エマはサンタさんのコスプレをしたいとか、色んな話をした。エマといると楽しいことばかりだな。
「ねー、このあとどこ行く?」
『私行きたいとこあるんだあ
付き合ってもらってもいいかな?』
「うん、もちろんだよ!」
お会計を済ませて私たちは次の目的地へと歩く。
「ねえ東堂奢ってもらうのは悪いよ!」
『付き合ってくれたんだから払うよ?
それに年下に払わせられないでしょーがっ』
「もー東堂って天然で鈍感でドジなのに、周りをよく見てたり、こういう時とか…たまにやっぱお姉ちゃんだなーって思わされる…なんなの!」
『褒め…てる?』
「んー、半々?」
『もー!…あ、ついたココだよ!』
「…ココって…」
エマが好きなブランド店。
中に入るやいなや、店員さんが迎えてくれた
「いらっしゃいませ、東堂様。
奥のお部屋にお通し致しますね。」
『お久しぶりです。
ありがとうございます。』
「え、ちょ、東堂…!?」
『おいでエマ、見せたいものがあるのっ』