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東京卍會のお姫様

第14章 ホオヅキ


あ…言い忘れた…。

『賢くん!』

石段を降りたところで後ろを振り返ってもう一度石段をあがる。賢くんの大きな体にもたれるようにして静かに肩を震わせているマイキー。きっと泣いてる。何があったかはわかんないけど…マイキーが泣いてるなんて相当だな…。

「ん?アングリーんとこいかねえの?」

『あ、いや言い忘れたことがあって』

「どうした?」

マイキーを自身に抱き寄せながら
私の話に耳を傾けてくれる賢くん。

『あの…あのさ
前に男の人のお財布拾って追いかけたことない?』

「あー…あったかもしんねえ
背が高くて爽やかな感じの男の人だったな
その人がどうかしたか?」

『その人、私のお兄ちゃんでさ!
お兄ちゃんからこの話聞いたときコメカミに龍の墨が入った背の高い人って言ってて、もう絶対賢くんだ!と思ったの。お兄ちゃんは賢くんにお礼したかったらしいんだけど、すぐ走っていっちゃったから私から伝えて欲しいって』

「え!あれ東堂の兄貴だったの?
どおりでイケメンだったわけだよなー…
いや、けど礼とかいらねえよ!」

『…って言うと思ったから
まだ先の話なんだけどクリスマスに私の家でパーティーしない?お礼も兼ねてお兄ちゃんが色々考えてくれるらしいから…どう?』

「いや、東堂の兄ちゃんがいいならもちろん行くけどよ、その…お前の兄ちゃん忙しいんだろ?わざわざそんなん開いてくれて…大丈夫なのか?」

『もちろんだよ、みんな誘ってやらない?』

「おう!なあマイキー聞いたか?
クリスマスすっげえ楽しみだな!」

「うん…エマにも帰ったら伝えておくよ
この後幹部集めるからそのときに
東堂からみんなに話してくれる?」

『うん、もちろんだよ!
じゃあソウちゃんとこ行ってくる!』

「ん、じゃあまたあとでな」

『はーい!』

…マイキーの目少し赤かったな。
私が戻ったからすぐに泣き止んだのかな。

きっとまだ触れない方がいいよな…。
今は何も考えずにそばにいよう。
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