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東京卍會のお姫様

第14章 ホオヅキ


『マイキー…』

「…?」

『無理に話して欲しいなんて言わないから。どうしようもなくなったら話してよ。マイキーには東卍の皆がいるよ…大丈夫。ね、賢くん?』

「ん…ああ。
そうだぞマイキー」

「東堂…ケンちん…っ」

『私の居場所をつくってくれてありがとうマイキー
何があったかは分からないけど…私はそばにいるよ
だから絶対自分を見失ったらダメだよ、ね?』

自分を見失ったらダメ…。

たまに自分が自分じゃなくなるみたいに黒い衝動が…怖くなる。俺はこのまま堕ちてくのかなって…どこまで?分からない。でもどうしようもなくなった時に隣には東堂がいてほしい。俺を止めてよ。叱ってよ。俺の光になってよ。俺と同じ苦しみを味わった東堂なら…そこから這い上がれた東堂なら…俺を光に連れていってくれるってなぜかそう思うんだ…。だからずっとそばにいてよ…。

「いつかさ…いつか絶対話すから。
俺の…そばにいてよ東堂。」

『うん、ずっとそばにいるよ
マイキーのいる所が私の居場所だもの』

「…っう。ごめ…泣きそう…っ」

『え、ごめ、ごめんねマイキー!』

「ははっ、マイキーのことは任せて東堂は皆のとこ行ってやれ。ほら、アングリーが心配そうにお前の事見てんぞー」

『あ、うん。ありがとう賢くん!
じゃあ私はソウちゃんのとこ戻るね』

東堂が石段を降りていく足音がしてからしばらくしてケンちんの声がした。

「なあマイキー…。
せめて俺の前では泣けよ」

「…ケンちん。ありがと…っうぐっ」

堰き止めていたものが崩れて堪えていた涙が溢れる。俺の肩を大きな手が抱き寄せてケンちんにもたれかかるようにして静かに泣いた。いつも何も言わずにそばにいてくれる相棒。俺なんかより周りが見えてるからコイツの方が総長に向いてると思う…。なのにケンちんはいつも俺についてきてくれるんだ。

「俺もお前のそばにいてやるから。
居なくなったりしねえから。」

今一番欲しい言葉だったのかもしれない。
居なくなったりしないって…約束して欲しかったのかもしれない。俺はこの傷を一生負って生きていく。そして俺はアイツを…きっと一生許せない。
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