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東京卍會のお姫様

第14章 ホオヅキ


「なあ東堂…」

『なあにマイキー』

「お前今幸せか?」

『いま…?うん幸せだよ』

そう言って笑顔を見せてくれた東堂。
お前が笑っていられる場所をつくってあげられたと思っても良いだろうか。自惚れていいだろうか。

「そっか。たまにさ…その…。
思い出して辛くなったりしねえの?」

「おいマイキー」

「…っごめん。東堂…なんでもない。」

…馬鹿かよ俺は。
昔のこと思い出させてまたコイツが笑わなくなったらどーすんだよ。ごめんケンちん。俺総長向いてねえかも。全然うまく笑えねえ…。

『たまにね…いや毎日思い出すよ
お父さんもお母さんも…大好きだったから。
やっぱり会いたいなって思うよ…毎日…。
だけどね、私には皆がいるから大丈夫だよ』

「東堂…?」

『マイキー、悪気があって聞いたんじゃないでしょ?なら全然気にしないでよ。気になることがあるならなんでも聞いてよ。思い出して辛くなるのは確かにそうだけど、思い出せなくなるよりずっといい。苦しくなるのは2人が私を愛してくれてた証だから…忘れたくないの。』

この子はなんて大人なんだろうかと思った。
いつもは無邪気な笑顔で、ドジで天然で…誰かが見ててやんねえとって思うのに。たまに見せる大人っぽい表情に慣れない…。それだけ両親という存在が東堂にとってどれだけデカかったか痛いほどにわかる。

今の俺にとって当時の東堂の心の痛みは…手に取るようにわかる。あの日から約1ヶ月…全てが上の空。エマは毎日泣いてるし、だけど俺は東卍を守ってかなきゃなんねぇ。

『…ごめん。ちょっと重かったね。』

返事をしない俺にもう一度東堂が口を開いた

「あ…いや、確かになって考えてた…ごめん。
忘れるくらいなら思い出して辛くなるほうがいいって。東堂の言葉はいつもすげえ心に沁みる。真面目に相談のってくれるし…ずっとそばにいてよ…東堂。」

『なんかあったんだよね』

「…っ。」

全部を見透かすような大きな瞳に吸い込まれそうになる。いっそのこと全部話そうか。だけど…余計な心労かけたくねえんだよ…。
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