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東京卍會のお姫様

第13章 キャンディータフト


暫く重たい空気のまま歩いて東堂の家の前に着いた。いつ見ても立派な家だな。こんな空気のまま別れたくないな…。

「東堂…っ」

『ごめんねワカくん…。
わたし…ワカくんのこと怒らせたい訳じゃなかったのに…久しぶりに会ったのに…ごめんなさい…。』

もう今にも泣き出しそうに話す東堂に胸が痛い。だけど真一郎の死を受け入れられるほどコイツは強くない。嘘をつくからには余計な心配かけさせたくない。

「いや…怒ってないから…!
怒ってない…ごめんな空気悪くして…。」

なに…気ぃ遣わせてんだよ馬鹿か…。
コイツはなんっも知らねんだぞ…。

『ほん…と?』

大きくて綺麗な瞳が濡れていて今にも零れそうだ。

…っ。

気づいた時にはもう抱きしめていた。

「東堂…ごめんな。
気ぃ遣わせてごめん。
悲しい顔させてごめん。」

『ワカ…くん?どうしたの…?』

「わりぃ…ちょっとこうさせて。」

ずっとこうしたかったのかもしれない。
10歳も年下のまだ13の女の子にこんな気持ちになるなんて俺はおかしくなったのか…いや…東堂は今まで出会った女の子の中で断トツ1番素敵な子だ。

『ん…うん。』

あーくそ。めちゃくちゃ可愛い。

小動物みたいに俺の腕の中にすっぽりおさまって大人しく抱きしめられている。いつか真一郎のことを知る日が来たら東堂は今日の俺の事を恨むだろうか。いや…東堂はそんな子じゃないか。

「ワカくん…?」

…なんでお前がこの家から出てくんだ?

「け…いすけ?」

『え、圭介くん?
あれ、もう起きたの?』

俺の腕の中にいる東堂が俺から離れることもせず体勢をそのままに圭介に話しかける。

「東堂…お前起きたら居ねえからびびった。瀬川さんが散歩行ったっつーから探しに行こうと思ったんだけど…ワカくんと会ってたのか?」

東堂を抱きしめたまま圭介を見つめる。万次郎がこいつを許すと決めたんだ…分かってる。お前は別に悪くないことくらい。圭介が止めに入ったことだって分かってんのに…どうしたらいいんだよ俺は。気まずい表情の圭介が俺を見つめ返して深く頭をさげた。この世界で頭をさげるっつーことの意味を俺はちゃんと分かってる。そして東堂を見る圭介の目が何を意味するかも俺は分かってる。
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