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東京卍會のお姫様

第13章 キャンディータフト


「冗談で女の子に綺麗なんて言わねーよ?
俺、女の子に興味ねーもん」

そう、女になんて別に興味無い。
お前だからそう思うんだ。

『そんなこと言って…モテるくせに』

「いやいや…俺万次郎から聞いたよ?」

モテるのはお前の方だろう。
いつか悪い虫が付いたらどうしよう。

『え…?なにを?』

「東堂が学校イチの美女すぎて
道端で他校のヤツに告られたりするから
いつか拉致られでもしたら心配だし
毎日登下校は俺らがついてんだって」

『告白…?友達になりたいって言われただけだよ?だけどそれで皆毎日…知らなかった!マイキーも皆も優しいなあ…ふふっ』

聞いた時は驚いたけど納得もした。
前から色んな人に声掛けられたり告白されたりしてんのは知ってたし、見た目だけでなく中身まで綺麗なコイツを周りがほっとくわけねえんだ。

「まあ…そばにこんな綺麗な子がいたら俺も…」

『んー…?』

「いや、なんもねえよ」

やば…声に出てた。
誤魔化すように俺は東堂の頭を撫でた。

俺がどんなにこいつに惹かれていたって10コも上の俺に東堂がそういう想いを抱くわけないんだ…だからただ妹のように可愛がろうって決めたじゃないか…。

『ワカくん…どうしてこんな朝早くに真一郎くんのお店の前いるの?中に入れてもらわないの?』

コイツ…知らないのか?
万次郎は何も…話していないのか?

「え…東堂もしかして…」

『え…?真一郎くんと喧嘩…したの?』

「喧嘩…か。
それなら良かったんだけどな…っ」

あぁどうしよう。俺今笑えてない。

『ワカ…くん?』

「…きら…家まで送るよ」

『あ…うん…。』

万次郎が東堂に話さないと決めたんだろう。それなら俺も話さない。他人の悲しみを痛いほどに共感できるコイツだから俺や万次郎の心配をさせてしまう。きっとエマを優しく抱きしめるだろう。それと同時に大切な人を亡くす悲しみをまた思い出させてしまうだろう。それだけは避けたい…。
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