第13章 キャンディータフト
「冗談で女の子に綺麗なんて言わねーよ?
俺、女の子に興味ねーもん」
そう言ってニカッと笑うワカくん。
ココ最近はあんまり会ってなかったから
久しぶりに会ったらやっぱ胸がざわつくな…
『そんなこと言って…モテるくせに』
「いやいや…俺万次郎から聞いたよ?」
『え…?なにを?』
「東堂が学校イチの美女すぎて
道端で他校のヤツに告られたりするから
いつか拉致られでもしたら心配だし
毎日登下校は俺らがついてんだって」
『告白…?友達になりたいって言われただけだよ?だけどそれで皆毎日…知らなかった!マイキーも皆も優しいなあ…ふふっ』
皆…なんにも言わず毎日そばにいてくれてたんだ。ほんとに優しいな。あたたかいな。
「まあ…そばにこんな綺麗な子がいたら俺も…」
『んー…?』
「いや、なんもねえよ」
そう言って笑ったワカくんは私の頭を撫でた。
この初恋は叶わないってとっくに諦めたじゃない…。10コも年下の私を相手にするわけないんだもの。
『ワカくん…どうしてこんな朝早くに真一郎くんのお店の前いるの?中に入れてもらわないの?』
「え…東堂もしかして…」
あれ…ワカくんの顔が…泣きそう…?
『え…?真一郎くんと喧嘩…したの?』
「喧嘩…か。
それなら良かったんだけどな…っ」
あ…どうしようなんだか空気が重い。
『ワカ…くん?』
「…東堂…家まで送るよ」
『あ…うん…。』
少し重たい空気のまま私たちは歩き始めた。