第12章 センビタリア
「この前みんなで海行ったあたりから1週間くらい三ツ谷がきらにベッタリだったのあれなに?集会も祭りの後も三ツ谷がすぐお前連れて帰っちまって…お前らなに。付き合ってんの?」
ほんとに三ツ谷は東堂にベッタリで、まるで俺の女に触んなって言われてるみたいだった。苦しかった。だからつい強い口調になってしまった。
『いや…付き合ってないよ?
たかちゃんが私と付き合うわけないじゃん』
こいつは気づいてないんだな。三ツ谷がどんな気持ちでお前といるか。俺から言わせれば、逆に今の三ツ谷がお前以外の女と付き合うことは無いだろうと思った。振り向いてくれないからって適当に女を作るやつではないし、俺もそうだけど東堂だから彼女になってほしいと思ってるんじゃねえかな。
「じゃあなんであんなに一緒にいた?」
モヤモヤが消えない。
『それは私が頼んだの。
瀬川に1週間お休みをあげて、夜1人で寝るのは不安だったからたかちゃんに一緒にいて欲しいって頼んだの。』
「は…?1週間も三ツ谷泊まってたのか?
隣で…一緒に寝たのか?」
俺は今どんな顔をしているのだろうか。祭りの日に一緒に家から出てきた時は浴衣の着付けのために三ツ谷を呼んだのだと思ってたけどあの日もその前の日も次の日も三ツ谷は東堂の家に泊まってたんだと理解した瞬間モヤモヤが大きくなったのを感じた。
『え…うん。
1週間たかちゃんといたよ?』
東堂が言い終わったと同時に隣に座る東堂の腕を引いて一気に顔を近づけた。祭りの日、俺はこいつにキスしたのに逃げないんだな…。意識されてないことが悔しくてキスはせずにそのまま肩に顔を埋めた。
『…圭介くんっ?』
「俺じゃダメだったんか…?」
三ツ谷のことが好きじゃないなら…
俺でも良かっただろ…
『お願いしようと思った時にたまたまたかちゃんといたから…それに1週間も泊まりに来てなんて迷惑でしょう?たかちゃんにお願いするのもすごく気が引けたんだよ。』
「迷惑なわけあるかよ。」
お前に頼まれて迷惑なことなんてひとつもねえのに。