第12章 センビタリア
side場地
『送ってくれてありがとうっ』
「ああ、うん」
あー、もう着いちまった。
もっと一緒にいてえな。
『圭介くん?』
手を離さず強く握り直した俺を不思議そうに覗き込む東堂につい本音が零れた。
「きら…っ。
まだ一緒にいたい…。」
そう言って思わず抱きしめた。
今日は2人で学校から帰ってそのままどっか出かけたいなとか思ってたのに灰谷達が来て…楽しかったからまあいいかなんて思って…。でも帰り途中に思い出したんだ。先月のいつかに三ツ谷とばっかりいた東堂を。俺だってこいつと2人で過ごしたい。まだ一緒にいたい…。
『…圭介くん?
あの…泊まっていく?』
「ん…。いいのか?」
俺は先月のあの日……。
俺なんかが東堂と過ごしていいわけなんて無いんだ。あんなことをしておいて…。マイキーが許しても俺は…。
『もちろんだよ。
明日学校ないしさ集会一緒にいこうか』
明日は集会か…。
あの日以来何をしていてもあの光景が蘇ってきて…でも東堂が居るから家まで迎えいってやらないとって…なんとか学校にいける。集会の日はマイキーが迎えに来てくれた。俺はこんなにも弱い。そんな俺が東堂のそばに居ていいわけないのに…何も知らない東堂の顔を見るとこんな俺を受け止めて欲しいって思っちまう。
「そうする…。」
三ツ谷や灰谷に対しての嫉妬とか、俺が起こしたどうしようもない事への罪悪感とか全部全部。なんにも知らない東堂に受け止めて欲しいって…このまま知らないまま全部受け止めて欲しいって思っちまう。本当はすぐ東堂にも話そうと思ってた…だけどマイキーがとめたんだ。東堂にいらない心配掛けるなって。だけどいつか知られたら…?こいつが俺から離れていったらどうすればいい…?苦しい…。
急に黙り込んで抱きしめ続ける俺の背中を東堂は優しくさすってくれた。
『圭介くん。なんかあった…んだよね
なんにも言わなくていいからね…
言いたくなったら教えてね。
私はずっとそばにいるから…』
俺の心を読み取るように欲しい言葉をくれた東堂。溢れそうになる涙を必死にこらえてまた強く抱きしめた。
「東堂…っ」
『よしよし圭介くん
今日は沢山甘えていいよ
外暑いしおうち入ろうか。』