第6章 宇宙に帰る
「早く殺してよ・・・。それとも生かしたいの、どっちなの?」
少しイラついたように催促する。
「銃を貸せ」
イザークがキラに手を伸ばす。
「イザーク・・・!」
「いいから、貸せ!!!!」
キラは渋々銃を渡す。
「キラ!!!!!」
「ラクス、大丈夫だから・・・」
イザークはゆっくりと歩き出し、扉をあけ彼女の部屋に入る。
銃を向けると目を閉じ、少し頭を傾けた。
「ヒルデ・・・」
彼の声が優しく、肩が一瞬震えてしまった。
だが気づかれていないだろう。
「そうやって、どうして我慢するんだ。いつも・・・俺をおいてお前だけ危険な場所に行こうとする・・。どうしてそうも1人になりたがる?どうして、俺に嫌われようとする??」
「別に、嫌いでも好きでもないわ。あなたのことなんてどうでも・・」
「そうか、全部嘘か。」
「ええ」
「本当のお前はいつもどこにいたんだ?」
ヒルデが目を見開く。
「どこにも・・・、」
「合うたびに性格がコロコロ変わる。本当のお前はどこにいたんだ。どれが本心なんだ。何がお前なんだ??」
そんなものわからない。
私は何にでもなっていた。
父の操り人形。
暗殺者。
兵士。
婚約者。
望まれればなんでもした。
「そんなもの、初めからなかったのよ。」
「もういいんだ、ヒルデ。本当は誰もお前を傷つけてはいけないんだ。尊重されるべき人間なんだ。この世に生まれてきたからには幸せになっていいんだ。」
ヒルデが目を見開く。
ああ、やっぱり。
生きてきた世界が違う。
やっぱり
やっぱり私は生きていてはいけない
何度も何度も見せつけられては絶望する