第6章 宇宙に帰る
イザークは青ざめた。
このままでは彼女も裁きを受けるだろう。
最悪銃殺刑だ。
頭が真っ白になった。
不本意ながらも婚約者になった。
初めは反発していたが、その危うい彼女をいつの間にか目で追っていた。
そして、彼女を守りたいと思った。
これから側で守っていけると信じていた。
彼女と幸せになることができると、彼女を幸せにすると。
「判決を言い渡す!!!!!!ヘイス・ブイエルを終身刑!ヒルデ・ブイエルを銃殺刑とする!!!」
動くことができなかった。
イザークはまるで金縛りにあったかのように固まっていた。
彼女は拘束されたまま連れていかれた。
バラバラと傍聴席にいたものたちが立ち上がり扉方出ていく。
イザークは弾かれたように立ち上がり、ヒルデの後を追いかける。
連れている兵士は4人。
「どけ!!」
「な、イザーク隊長!!」
4人を気絶させ彼女の手を取り走り出す。
「隊長!!!」
ヒルデが叫ぶ。
小さな通路に隠れる。
「たいち・・・」
ヒルデの言葉はイザークの口によって塞がれる。
「なぜだ・・。なぜ、お前は証人だったろう・・・、なのに、なぜ・・・!!!」
彼女を離さないように強く抱きしめる。
「やめて・・・!!」
ヒルデは大きく体をよじらせイザークの腕から逃れようとする。
「だめだ。俺と生きるんだ・・。お前が帰る場所を作ると・・」
「離して!!!!」
「なんだと・・・!」
「いたぞ!!ジュール隊長!!投稿してください!」
イザークはヒルデの腕を掴みもう一度走り出そうとする。
その腕を大きく振りほどいた。
驚くイザークの瞳に映ったのは体制を崩し倒れかけているヒルデだった。
体を支えようと手を伸ばすもその手は空を切る。
間に合わず、彼女の体が床に崩れ落ちる。
呆然とするイザークを数人のザフト兵が拘束する。
振りほどく力が入らずそのまま引き離される。
彼女は床にうずくまり、吐血し苦しそうに小さな体を上下させていた。
少しだけ顔を上げた彼女の瞳は虚ろで感情が抜け落ちたようだった。