第6章 宇宙に帰る
ヒルデの表情は変わらない。
青ざめた裁判官が順序をすっぽかし問い詰めた。
「シーゲル・クラインを殺したことを認めるのか。」
「はい。」
その態度の周りがざわめく。
ラクスもわずかに肩を震わせていた。
「よくそんな風に表情も変えずに言えるね。」
「キラ・・・・・。」
ラクスを見て耐えられなくなったんだろう。
「・・・静粛に、准将・・・。」
「私は当時の政権に従ったまでです。」
「だから罪はないと?」
「あなた方が罪だというのなら認めます。」
キラは怒りで今にも爆発しそうだった。
ラクスが涙をこらえているから。
「君は・・・、人を殺したんだよ?そしてその家族が目の前にいるというのに、」
「何か勘違いしているみたいね。フリーダムをあなたに渡したのは罪ではないの?あなた方が戦争裁判に裁かれないのは勝ったからよ。決して正しい、正義の味方だからではない。」
「じゃあ、あのまま戦争が終わらなければよかったというの?」
「私は事実を話しているのであって、仮定の話をしているわけではありません。話を逸らさないで。」
「静粛に!!!准将お気持ちはわかりますが控えてください。」
キラは寂しそうに裁判官に分かったというように微笑んだ。