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歩み出せるなら

第6章 宇宙に帰る


プラントに帰るまでは誰もが忙しく、毎日は風のように過ぎていった。

そしてついにプラントに帰国する日になった。

「ヒルデ、内密に進めてもいいんだぞ。」

「いいえ・・・。それでは正しい形で裁かれません。もう、たくさん甘えさせてもらいましたから。」

そうか、と優しく抱きしめる。

「じゃあ、また後でな。」

ヒルデは穏やかに笑みを浮かべた。



「おい!!どういうことだ!!!離せ!!!」

父が両腕を引っ張られながら連れてこられる。

「ヒルデ!!この状況について説明しろ!」

私を見つけるやいなや、さらに喚き出す。

「お父様。もう終わりです。諦めてください。」

穏やかに微笑んで見せる。

「なんだと!?恩知らずが!私が裁かれるということは、お前も裁かれるということだからな!!!」

そのまま彼が引きずられていくのに続いていく。
今日は私たちが裁かれる日。

もうイザークの元に戻ることはできない。

「ただいまから、ヘイス・ブイエル及び、ヒルデ・ブイエルの裁判を始める。」

「どういうことだ!!!説明しろ!!」

ヘイスはまた喚き散らす。

「静粛に」


証人として呼ばれていたイザークはヒルデまで裁判にかけられていたことを知らなかった。

「ヘイス・ブイエル。まずはあなたのお名前、生年が・・・」

「黙れ!!なんの罪があるというのだ!!」

「お父様!!!」

耐えきれずヒルデが声をあげた。

「あなたが一番わかっているでしょう。諦めなさい。」

さっと顔を青ざめさせ、唇を噛み締める。

「お、お前だって犯罪者だろ!!」

「ええ、だから私も・・」

「お前はラクス・クラインの父、シーゲール・クラインを殺したんだ!!皆聞け!!こいつが殺したんだぞ!!」

新たな事実に裁判官が青ざめる。
そんな話は誰も聞いていない。

「・・・だからどうしたというのですか。私は当時あなたと前議長に従ったまで。それが罪だというのならそれも裁いてもらって結構です。」

ヒルデは淡々と話す。

誰もがざわめく。
議長になったラクス・クラインの父であり、反逆者として指名手配され彼は弁明する余地なく殺された。
暗殺に等しいのではないかと声も上がっていた。
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