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歩み出せるなら

第5章 宇宙に惹かれて


「あれは・・・。」

ヒルデを追ってきたイザークは母艦を見つけた。

「ヒルデ!!!」

もう声は届かない。
彼女を追いかけ、侵入する。
驚くほどすんなりと中に入ることができた。
ヒルデの機体がおかれていた。
どうやら艦内に潜入しているようだ。
銃を構た。

驚くほどの静寂。
どうやら中心人物はまた逃げたようだ。
だが切り捨てられた人間もいるらしく、死体が転がっていた。

「どこにいるの・・・。」

意識を集中させる。

『こっちだ、ヒルデ・・・。』

声のした方に向かおうとした瞬間、腕を引かれる。
気配がしなかったことに驚きつつも銃を向けようとすると、思いっきり抱きしめられた。

「ヒルデ・・・!」

彼の腕に驚いていると、優しく唇が重ねられた。
その暖かさに驚いていると、思いっきり抱きしめられた。

「痛いわ・・・。」

「ああ、ああ」

彼は同意するだけで力を緩めてはくれない。

「過去にとらわれるな、クルーゼ隊長は死んだんだ。」

耳元で低く囁かれる。
そんなこと・・・

「知っています・・・!」

泣きたくなくて彼のパイロットスーツを思いっきり握りしめる。
イザークはゆっくりと頭を撫でる。

「なら終わらせてこい・・。亡霊にとらわれるな」

驚き弾けたように顔を上げる。
どうして彼は私のことを理解しているのだろうか。

「終わらせて、俺のものに戻ってこい。たとえどんなお前でも側にいる。一緒になろう。」

「ど、どうして・・・?」

「嫌なら断れ!!好きになったんだから仕方ないだろう。この気持ちは止められない。お前だってわかるだろう。」

イザークの手が唇に触れてかぁと頰が薔薇色に染まる。
それと同時に、ずっと彼を見てなかったことが申し訳なくなった。

「やっと意識し始めたか?まぁ、いまはそれでいい・・・」

その穏やかな顔が、最後に見た彼とかぶって見えた。

「すべて、終わらせるから・・・。私のそばにいて・・、もう離さないで・・・。」

「ああ、隊長みたいに離したりしない。だから安心しろ。帰る場所は俺が作ってやる。」

彼の言葉を聞いて心があったかくなるのがわかった。

自分も幸せになってもいいのだろうか。
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