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歩み出せるなら

第5章 宇宙に惹かれて


出撃した瞬間からスラスターを全開にする。
機体が出せる最高速度で突っ込む。
ファンネルを出し、突っ込んだ先、左右にいる的を撃破する。
中心あたりで宙返りをする。

「頭に響く・・・!!」

それは彼のクローンだから。
感じやすいのだ、お互いに。
敵も異質を感じ、ヒルデの方に向かってくる。

「ごめんなさい・・・。」

彼らの恐怖が伝わる。
今までの実験の痛み、苦しみ、人としての尊厳を奪われる絶望。
そして死ぬという痛み。

「くっっ!」

体が悲鳴をあげている。
でも、キラ・ヤマトにもう殺させはしない。
私が終わらせる。

「突っ込みすぎだ!!!」

イザークの声が通信で響く。

「遅い!!発進シークエンス5番まで飛ばせ!!グフイグナイテッド出る!!」

「おい!イザーク!!!」

さすが隊長機、無駄のない動きで的に突っ込む。
だが、ヒルデの早さにはかなわない。

「前に出過ぎだ!イザーク!!」

「お前が指揮をとれ!」

「はぁ??!!」

「俺がヒルデとともに潜入する!!」

一方的にイザークが通信を切り、ヒルデを追いかける。

「おい!!ちっ!!各機散開!!距離をとれ!!」

敵も味方もお互いに被害が出始めた。
こちらはキラがいるおかげで、何とかギリギリで持ちこたえている。
なのに主戦力になるイザークが行ってしまった。

「俺だって!!!」

シンの声が聞こえた。
ああ、あいつエースパイロットだったなと心の中で思う。
実戦を見たことがほぼなかったので気づかなかった。
あいつも生き抜いてきたのだ。

「シン!!お前は右舷を叩け!!期待してるぞ。」

「はい!!!」

元気の良い返事が聞こえてきた。
調子の悪かったしシホも何とか動けるようになったようだ。

「まったく、個人の力はすごいけど、みんな個性的なんだよな・・。」

ディアッカはスラスターを全開にし、指揮を取るため、最前線に向かった。

ディアッカの苦悩は未だ誰も知ることはない。
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